[北京 10日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が10日発表した5月の新規人民元建て融資は、人民銀行が債務の抑制を目指す中、前月比で予想外に増加した。

5月の新規人民元建て融資は1兆5000億元(2347億6000万ドル)で、4月の1兆4700億元から増加。市場予想の1兆4100億元を上回った。

中国当局が新型コロナウイルス危機に対応するため、前例のない支援策を打ち出していた前年同月の新規人民元建て融資は1兆4800億元だった。

興業証券の債券アナリスト、Luo Yunong氏は「与信サイクルはすでにピークアウトしたはずだが、下降ペースは予想していたより緩やかなようだ」と述べた。

家計向け融資は6232億元で、4月の5283億元から増加。法人向け融資も7552億元から8057億元に増加した。

5月末時点の人民元建て融資残高は前年比12.2%増で予想と一致。2020年2月以来の低い伸びとなった。4月は12.3%増だった。

マネーサプライM2の前年比伸び率は8.3%。市場予想の8.1%を上回った。4月は8.1%だった。

人民銀行は昨年、新型コロナで打撃を受けた企業に対する低利融資や返済猶予を金融機関に求めていたが、現在は債務リスクを抑制するため、与信の伸びを抑えようとしている。ただ、景気回復に悪影響を及ぼさないよう、慎重に対応を進めている。

5月の社会融資総量は1兆9200億元、4月は1兆8500億元だった。ロイターがまとめた5月の社会融資総量のアナリスト予想は2兆元だった。

社会融資総量には、通常の銀行融資以外の新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などが含まれる。

5月末時点の社会融資総量残高は、前年同月比11%増の297兆9800億元(46兆6400億ドル)だった。2020年2月以来の低い伸びとなった。4月は11.7%増だった。

アナリストは、伸びが鈍化したのは社債や政府債の発行ペースが落ち、影の銀行融資が縮小したためで、将来、経済成長を阻害する要因になり得ると指摘。

キャピタル・エコノミクスのジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「与信の伸び鈍化は数カ月前時点の予想より急速だ。経済は今のところ政策支援の縮小をうまく克服している。だが、時間的なずれがあることから、与信の伸び鈍化は今後数四半期の間に経済活動の逆風が強まることを意味する」と述べた。