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「アデュカヌマブ」は、日本でも認可申請していますが、もし日本で承認され、健康保険適用になった場合、価格は政府が決定します。算定要素は、(1)類似薬効を示す医薬品を参照することが基本ですが、(2)類似薬がない場合は医薬品の市場性と原価の資料を政府が企業に出させて政府の判断のもとに決定します。また、(3)外国で医薬品が発売されている場合は、原価算定を行うことに加え、外国の価格を参考にしますが、日本での価格は米国でつけられた価格に対し、極端な減額となることが通例です。ここに合理的な理由はありませんが、「政府が健康保険の支払者」であることが影響していると考えて差し支えなく、また、毎年価格を引き下げています。
今回の医薬品が日本で認可されると、(2)と(3)の要素が日本の公定価格に重大な影響を及ぼすため、エーザイにとっては、医薬品の価格相場が高く、自由に価格を付けることができる米国で臨床試験を行い、その結果をもって米国で先に承認されることが望ましいことになり、実際にその手順で駒を進めることが出来ました。
内藤CEOは、新薬の価格決定を「複合要因で」と発言していますが、これは、世界的に認識が高まっている「医療経済的価値を算定するように」ということを意味し、米国と比べて大幅に安い価格を決定しようとする日本政府への牽制だと思われます。
また、「特別価格」についての発言もしていますが、保険未加入者や低所得者に対するものとしてとらえられ、米国向け市場に対する発言だと思われます。米国では、医薬品の価格が高いため、低所得者は高額医薬品を使うことができません。そこで、このようなプログラムで「社会貢献」し社会からの支持を得るのが、1980年代頃に最初に実行したバイオ企業以来のビジネスモデルになっています。記事では対象が違うと思われるものが混在しています。
新型コロナワクチンでは、日本政府は米国での臨床成績があることを理由に、国内での臨床試験の成績は十分ではないまま追認しています。
なお米非営利機関のICERの分析(中間報告)ですと、あくまで仮にアデュカヌマブに社会的機能の低下のスピードを抑える効果があった場合でも、施設介護に移行するまでの期間が延びる(重度になるまでの時間が長くなるため)などの影響もあるので、家族の負担の差は意外と小さいとも指摘されています