2021/7/17

【ドムドム 社長】「手作り厚焼きたまごバーガー」SNSで話題に

ライター&エディター
今、日本最古のハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」が注目を浴びている。ソフトシェルクラブを一匹丸ごと豪快に挟んだ「丸ごと‼カニバーガー」などの斬新な商品でネット上を沸かせ、人気ファッションブランドとのコラボで若者の心をつかむ。

老舗でありながら数年前まで衰退の一途をたどり、2017年にはレンブラントホールディングスに経営権を譲渡。現在、ドムドムの指揮を執るのは、39歳まで就職経験のない主婦だった異色の経歴を持つ藤﨑忍社長だ。社長就任から2年半、2021年3月決算で事業譲渡後、初めて黒字を果たした。

近年、アメリカ発の高級グルメバーガーの上陸を機に、「低価格で手軽」というハンバーガー業界の概念が変わりつつある。その中で、復活の兆しを見せるドムドムハンバーガーの戦略とはどのようなものか。藤﨑氏が、波乱万丈な半生を振り返りながら明かす。(全7回)
「ドムドムハンバーガー」池尻大橋ポップアップストアにて(2020年2月撮影)
INDEX
  • 夫との突然の別れ
  • 日本らしい「厚焼きたまご」
  • オペレーションの徹底に問題あり
  • 新商品がSNSで話題に

夫との突然の別れ

2店舗目の「SoRa-Ki:T」も順調で、オープンから4年が過ぎた2016年の12月、別れは突然に訪れました。主人が急逝したのです。
風邪をこじらせて高熱が続き、入院した矢先のことでした。心筋梗塞や脳梗塞で何度倒れても強く生きる人でしたから、このような別れは予想もしておらず、大きな喪失感に見舞われました。
心に穴が開いたまま、それでもやってこられたのは仕事が支えになっていたからだと思います。
藤﨑 忍/ドムドムフードサービス 社長
1966年東京生まれ。青山学院女子短期大学卒。21歳で政治家の妻になり、39歳まで専業主婦だった。夫が病に倒れ、生活のために働き始める。最初はギャルブームの頃のSHIBUYA109のアパレル店長。若い店員とのコミュニケーションがうまく、また店頭ディスプレーのセンスも良く、店の売り上げを倍増させた。次は新橋の居酒屋の女将に。料理の美味しさや接客の良さで一躍人気店になった。その腕を常連客に見込まれ、ドムドムバーガーのメニュー開発顧問に。「手作り厚焼きたまごバーガー」をヒットさせ、ドムドムフードサービスに入社。わずか9カ月で社長に就任する。初の著書『ドムドムの逆襲 39歳まで主婦だった私の「思いやり」経営戦略』を2021年7月に発売した。
来てくださるお客様のためにもしっかり仕事をしなければと努めて約半年、ある常連のお客様から声をかけられました。
「ドムドムハンバーガーの新メニューを一緒に考えませんか」