2021/7/7

【ベクトル 会長】ゴールを決めて逆算し、何をやるかを構造化する

ブックライター
PR事業への参入は約20年前。後発だったが、「戦略PR」を武器にして、あっという間に業界のトップに躍り出た。

2012年に東証マザーズに上場。14年には東証一部へ。2021年2月期の連結売上高は372億円。40数社をグループ傘下に置き、東証一部上場企業のPR TIMESをはじめとした上場会社も生み出した。

ベクトルは今、「アジアナンバーワンのPRグループ」から「ファストカンパニー」へとコンセプトを更新。1000億円規模のPR業界だけでなく、6兆円規模の広告業界の市場へと踏み出そうとしている。創業者・西江肇司氏の思考と行動を探った。(全7回)
西江肇司(にしえ・けいじ)/ベクトル 創業者・会長
1968年岡山県出身。関西学院大学在学中から起業家として活動。卒業翌年の1993年にベクトルを設立する。PRを武器に成長を遂げ、2012年3月東証マザーズに上場。2014年11月に東証一部へ市場変更。東証一部のPRTIMESなど、42社の子会社を持つ。2020年「PR WEEK」アジア部門にてランキング1位に選出される。
INDEX
  • 愛読書は『世界の一流品大図鑑』
  • ビートルズ、ストーンズのPR戦略
  • 中学生で一軒家に一人暮らし
  • 勉強も仕事も最短距離をいく

愛読書は『世界の一流品大図鑑』

僕は1968年に岡山県倉敷市に生まれました。父は会社経営、母はピアノの先生でした。小学校でビートルズに出会い、やがてローリング・ストーンズが大好きになりました。ファンクラブにも入った記憶があります。
小学校から頭はマッシュルームカット、商店街の化粧品店で買った香水をつけるなど、かなりませた子どもでした。父の香水は大人臭かったので、自分で買いに行ったのです。
幼少の頃
振り返れば、将来PR会社をやる伏線がいろいろあったような気がします。
例えば、小学校時代の愛読書。これが『世界の一流品大図鑑』でした。ページをめくりながら、「チャイコフスキーも愛用していたというこのパテックフィリップの時計は、オレが買うもんやな」などと本気で考えていました。
国内外のいろんな企業、特にファッションブランドのロゴデザインが好きだったり、それぞれにどういう特徴があって、業界の中でどんなポジションにあるのかなど、今もよく覚えています。
ブランド研究を通して、自分の頭の中に業界地図やロゴのようなものを描くのが、とても好きでした。
実は今でも大好きで、おかげでPRの依頼があったとき、その企業がどんな業界・職種であれ、たいていは業界地図や市場動向についてすぐに理解ができ、その中でのモノの広め方についてその場で話すことができます。