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いかにこれから再エネが安くなろうとも、毎月支払っている再エネ賦課金はあと10年増えることはあっても減ることは基本的にない。そういう意味では、再エネが消費者にとって安くなることはないと言えるかも知れない。
ただ、ややこしいのは、再エネ価値市場が今年新設される予定なので、再エネを消費したことに出来る権利は格安で流通する。再エネコストの低減とは別に、このチートの様な制度で、見かけ上の企業にとっての再エネコストは下がるかも知れないが(量も十分ある)、これはただの形を変えた産業補助金である。
BNEFの黒崎さんがご指摘の通り政策に問題がある(あった)のは確かで、その高い買取価格の設定だけでなく、運転開始期限を設けなかったために、認定を受けた後にモジュールが安くなってから設置・運開する事業者がまだいて、そうした事業者が設備調達をカサ増しするために、買取価格設定の基準となる平均開発コストが下がりにくい、という悪循環を生んでいる。
これも菅直人政権が残した大きな負の遺産の一つ。
2016年以降、運転開始に関する規制が始まったものの、系統連系着工申し込みを行えば猶予期間が6年になるので、まだそうした未稼働案件は相当数導入される可能性がある。
ただ、過去に遡求して認定を取り消したり、既に運転開始している買取価格を政治的に変えることは、国家賠償訴訟のオンパレードになる可能性が高いので、行政の無謬性原則からして、べースの賦課金がこれ以上安くなることはないだろうし、未稼働案件の悪影響を抑えるのは難しい。
パネルや付属機器(パワコン)の設備コストが下がった結果、既に太陽光発電の資本コストのうち、2/3はそれら以外で、特に架台や造成の施工費やが国際的に高い水準になっている。これらの多くは人件費であり、恐らくはメガソーラー施工時の工務店のピンハネが大きいのではないかと邪推している。
日本では、太陽光事業は「工務店」案件で、これは自民・民主共に地方の重要な票田であるため、なかなかここをダイレクトに切り込むような制度を作ることは政治的なハードルが高いという話を聞いたが、どのレベルまでの話なのかはわからない。
既にFITで導入された再エネによる環境価値取引を認めることで、企業が安く環境価値を調達できる仕組みが導入されますが、これは再エネを増やすものではなく、大場さんご指摘の通り産業補助の制度と理解した方が正確でしょう。かみ砕いた記事はこちら
https://comemo.nikkei.com/n/n8814dce24713
しかし日本の脱炭素戦略を考える上でより真剣に考えるべきは、日本の自然条件です。
太陽光はだだっ広い砂漠のような土地がある国では有利です。日本は太陽光の導入量としては世界第3位(中、米、日本)、国土面積当たりでは1位、平地あたりにするとぶっちぎり世界1位。だだっ広い平地が無い日本は、建物の上などを丁寧に開発せねばなりません。他国と同様のモノサシでは語れないということです。ただアジアには同じような条件の国も結構あるので、そこに負ける理由は突きとめてつぶしていくべき。
もう一つ、風力も条件は良くありません。陸上で風力に適するのは山の尾根。巨大な風力発電の支柱や風車を載せた車が尾根までいける道をつけて風車を建てることによる自然へのダメージもあり、陸上にはほぼ適地が無くなったとされています。洋上に出るしかありませんが、欧州の遠浅の海と異なり、急速に海底が深くなるので浮体式という3000トンの鉄の塊を浮かべる技術で、どこまでコストダウンできるかは未知数です。
海に出れば風況は良いものの、欧州等とは相当の差があります。以前ご紹介しましたが、欧州、台湾、日本の「風力適地」で同じ値段で風車を立てられたとしても、風況が違うので1kWhあたりの電気のお値段は日本は欧州の倍になる、という試算もあります。
地熱や水力も丁寧にやるべきところですが、コストや開発時間などの点からボリュームは今のところ期待できません。
「他の国で下がったのだから日本でも下がる」「日本で下がらないのは制度設計や抵抗勢力のせい」というような雑な議論ではなく、今日の富山さんの記事にもあったように、無いなら無いなりの脱炭素戦略を描く必要があります。
一方で欧州や中東などと比べると日本の国土は必ずしも再生可能エネルギーに適した地形ではありません。また、各国の案件の条件を見ていても、その他セクターのPPP(Public Private Partnership)と同じように政府がどこまでリスクを取るのかという点はリスクアロケーションや政府のキャパとの兼ね合いになります。政府がサイトや補助金などの負担をすれば事業者が要求するタリフは下がりますが、一方で税金や電気料金などを通じて国民の負担が増える可能性もありますのでこういった要素のバランスになると思います。
確かに手厚いFITでコスト競争力を高めることが遅れた面はありますし、初期のFITで太陽光発電に参入した会社は「今のところ」かなり儲かっていると思います(投資回収はまだのケースがほとんどだと思いますが)。
ただ一点強調したいのは、FITは長期固定価格での買取なので、「インフレ耐性はゼロ」です。意外とこのリスクはスルーされてる気がします(ハイパーインフレになったらFIPに切り替えて卸売場に売る手もありますが、小規模案件はそれもできない可能性がある)
こう言った地理的な制約もあると思います。
政府が約束を反故にはできないだろう
しかし毎年上がる負担金には驚いてします。生活困窮世帯にも容赦なく負担がかかります。
2021年ど再生エネルギー負担金
1世帯あたり1万476円となり、20年度と比べて1割強増える見込みとのことで
月に1000円に迫る
どんなに節約しても1000円近く電気代が上がる現状に耐えられない気持ちになる人々も多く居られると思います。
因みに
通信における過疎地等の通信インフラの維持に使われるユニバーサル料金3円(一番号につき)
一家庭に5回線あるとして3円=15円の負担
2030年くらいまでは増加傾向でその後徐々に下がる公算とのこと
それまで何とかならないものか
ソフトバンク孫さんや太陽光投資を検討していた企業が当時の政権であった民主党に対して高めのコストで試算を出したことがアンカーになり
このバブルが産まれたと考えています。(私も肖ろうとしてましたが)