[東京 4日 ロイター] - 経済産業省は4日、半導体の生産・供給能力確保などを盛り込んだ半導体・デジタル産業の新戦略を発表した。海外のファウンドリー(半導体受託製造)との合弁工場の設立などで国内製造基盤を確保するほか、次世代製造技術の国産化を進める。半導体産業は、米中対立を背景に経済安全保障上の重要さが増しており「国家事業として取り組む」と位置付けた。

新戦略では、半導体・デジタル産業のうち、国家戦略として必要なものを定め「通常の産業政策を越えた特例扱いの措置を講じる制度の構築を検討する」とした。

また、日本にある既存工場については、新たな投資、再編や統合も含めた「大胆な刷新」を進め、需要に対応できるようにする。

半導体の需要先として有望視されるデータセンターは、日本が「アジアの中核拠点」となることを目指す。東京や大阪に集中するデータセンターの分散を図るために年内に立地計画を策定。必要に応じ、インフラ整備などの基盤整備を政府が支援する。

梶山弘志経済産業相は4日の閣議後会見で、半導体・デジタル産業について「国民生活に必要不可欠な基盤であり、民間事業支援や1業種支援の枠を超えて国家事業として取り組む」と述べた。その上で「失われた30年の反省と地政学的変化を踏まえて大きく政策転換を図っていきたい」とした。

半導体については、米国、欧州、中国などが政府支援を強化している。2日に公表された政府の成長戦略案では「他国に匹敵する取り組みを早急に進め、先端半導体の生産拠点の日本への立地を推進することで、確実な供給体制の構築を図る」と記された。成長戦略が閣議決定されれば、こうした半導体戦略が国の戦略となる。