2021/6/5

【人事トップ直撃】ソニー「新卒88職種別採用」本当の狙い

NewsPicks ジャーナリスト
就職活動の常識が変わる──。
ソニーは2022年入社の新卒採用において、88種類もの職種コースに区分して採用活動を進めている。また、日立製作所は今年度から「採用直結型」のジョブ型インターンシップを開始した。
かつてこうした「ジョブ型」新卒採用は、外資系企業など一部の企業だけが採用していた。
だが、ソニーや日立という日本を代表する2社が新卒採用改革を進めれば、他社への影響は大きく、これからの就活のスタンダードになる可能性も高い。
こうした変化は、就活する学生にとってはもちろん、現役のビジネスパーソンにもインパクトが大きい。
なぜなら、これからは新卒時点でジョブ型の発想がスタンダードになる。つまり、やりたい仕事を選ぶという自律的なキャリア意識を持つ若者と働くことが、当たり前になるからだ。
そこで今回の週末特集では、ソニーと日立の2社の人事トップを直撃。ジョブ型就活の狙いについて聞いた。
初回に登場するのはソニーの人事トップ、安部和志執行役専務だ。
ソニーは、社内公募制を筆頭に、先進的な取り組みを先駆けて取り入れてきた。
もっとも、安部氏に言わせると、「新卒88職種別採用」はあくまでも表面的な制度でしかない。ソニーの人事改革で目指しているのは、むしろソニーの原点回帰だという。
その本当の狙いについて聞いた。

後悔するくらいなら辞めなさい

──まず、新卒88職種別採用について、根本にある考えを教えてください。
創業者の盛田昭夫は入社式で「ソニーに入ったことをもし後悔することがあったら、すぐに辞めなさい。ソニーで働くと決めた以上は、お互いに責任がある」という言葉を残しています。
現在のCEOの吉田(憲一郎)も同じく入社式で、「私たちがあなたたちを選んだように、あなたたちもソニーを選んでくれてありがとう」という言葉を、新入社員に投げかけています。
言葉は違いますが、いずれも「ソニーを選んだことに責任を持ってもらいたい」というメッセージです。