ROE、Appleは70%台 日本平均の10倍
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ROEは便利な株主還元を測定する指標ですが、やはり限界というか課題も押さえたうえで使わないと議論が混乱してしまうという印象です。
僕がミスリードかな?と思ったのは、財務レバレッジのところ。例えば米国ランキング2位につけるLowe'sのROEが340.9%とありますが、これは明らかに簿価ベースの自己資本が薄いことによるものです。ご存じの通りROEは簿価ベースの自己資本を分母にするので、自社株買いなどを頻繁に行うとこのベースが低くなる。
本来は簿価ではなく時価で考えるべきで、実際Lowe'sのPBR(=時価純資産÷簿価純資産)は306.7と異様な高さであったりするから、時価ベースでのリターンを考えるとそこまで高くないわけです(実際純利益率は一桁ですしね)。こうした個別事例を持ってきて、やれXX社のROEは日本の同業のROEと比べて10倍高いなどの議論はナンセンスだと思います。そもそも自社株買いっていわゆる「財テク(死語?)」で、本質的な企業の価値を高めているわけではないですからね(経営の神様・P.F.ドラッガーによれば【企業の目的は顧客の獲得である】と断言されてます)。
伊藤レポートにおいてROEを基準として考えましょうというのは、日本において株主価値還元の考え方がまだ未熟だったからであって、比較的なじみがあってわかりやすい指標としてROEを取り上げたと思われるわけですが、もう伊藤レポート発行されて数年たつのであるから、時価ベースのより本質的なEVA(額)やROIC(率)にシフトしてもいいのかな、と思います。RoEはなぜ大事なのか。これを資本効率と訳したときから混迷が始まったように思います。
RoEが重要なのは、成長力を示すからです。さらにいうと、限界RoEが本来の指標であり、一般的に参照されるオールインRoEは手軽に計算できる代替値にすぎません。(でもほとんどの場合、決して近似値ではない)
詳しくはこちらをどうぞ
正しい株価がよりよい社会を生む理由 | note
https://note.com/propro/n/n8787813df663
・資本効率=成長率
・一番儲かるところに資本を配分するのがなぜよいか
・正しい株価はなぜ大切か
・大事なのは「限界」成長率
ほかROE以外は10倍どころの差じゃない。財務分析で云々という比較ができるレベルの差じゃないので、財務指標を語る前に、グローバルに未来社会に意味のある、存在意義や社会への影響力を有した企業を日本からもっと生み出していかないといけませんね。