2021/6/6

【全貌】凄腕ハッカー集団の「サイバー犯罪支援ビジネス」

INDEX
  • 世を騒がせる「身代金ビジネス」
  • 誰でもサイバー犯罪者になれる
  • 極秘チャットが明かす「儲けの構造」
  • 新手の「フランチャイズビジネス」
  • 300件以上のサイバー攻撃に関与
  • ロシアが「拠点」になる理由
  • サイバー犯罪の脅威は去らず

世を騒がせる「身代金ビジネス」

身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」を使ってデータを盗み、金銭を要求するサイバー犯罪集団「ダークサイド」。先ごろ、米国の石油パイプライン大手「コロニアル・パイプライン」を攻撃し、東海岸のガソリンやジェット燃料の供給を混乱におとしいれた張本人だ。
その数週間前、同集団は中西部にある同族経営の小規模な出版社に攻撃を仕掛けていた。
ダークサイドは「ウォリス」と名乗るハッカーと手を組み、小学校教育界に主な顧客を持つこの出版社に対し、175万ドルの身代金の要求に応じなければ、同社のウェブサイトを停止させると脅迫。さらに、同社の顧客情報をもとに、小児性愛者の学校への出入りを可能にするための証明書を偽造することもできると、虚偽の脅しをかけた。
ウォリスは、後者の手口が特に気に入ったらしい。
ニューヨーク・タイムズが入手した、ダークサイドとのシークレット(暗号)チャットのやりとりで、ウォリスは「流出したIDを使って小児性愛者が学校に侵入するかもしれないというアイデアには、心の底から笑った」とロシア語で語っている。「それが出版社をそれほど怖がらせるとは思わなかった」
ダークサイドの攻撃を受けた「コロニアル・パイプライン」(Travis Dove for The New York Times)

誰でもサイバー犯罪者になれる