大坂なおみ「全仏OP」棄権を表明 ツイッターで〝心の病〟も告白
コメント
選択しているユーザー
大坂選手が提起した問題が「心の病だったら仕方ないよね」という方向に流れていってしまっているのが残念です。
本来、プロスポーツ選手は「スポーツを通じて高い技術やフェアプレイ精神や目標に向かって努力することの尊さ」を世に伝えることが使命であって、記者会見に応じることは副次的義務でしかない、と私は思っています(誤解のないように言っておきますが、もちろん、そういう選手やスポーツを「取材したり報道する権利」もマスコミやジャーナリストにはあります。)
「心の病だったら仕方ない」という評価は、裏を返せば「心も健康なら、どんなに嫌な思いをしようと記者会見には応じるべきだ」ということにつながりかねない。
問題は「プロスポーツ選手には記者会見に応じる義務があるのか?それは罰金や大会出場権の剥奪といった制裁をも伴うものなのか?」という点です。
「記者会見には応じない」という判断と対応もまた、それを通じて選手の生き様を世に問うていることに変わりはなく、それをポジティブに評価するかネガティブに評価するかはファンの権利です。
記者会見に応じるか否かは、そのようなベネフィットもリスクも一身に引き受ける覚悟で選手自身が決めればいい、と私は思っています。
それは大坂選手が心の病か否かとは関係ありません。
分野は違いますし、喩えとして適切かどうかも自信ありませんが、「ライ麦畑でつかまえて」という名作を世に送り出したにもかかわらず、生涯、マスコミとの接触を避けて隠棲に近い暮らしを続けたサリンジャーを、「マスコミやジャーナリストのインタビューに答えなかった」という理由で否定したり、その作品の価値はないと決めつける人はいないでしょう。
人は本来、自分が最も幸福を感じられるフィールドで、他者から望まない干渉をされることなく自己実現をする権利を持っているはずです。
大坂選手が苦しみの中から必死に叫び声を上げたように「記者会見」がそれを踏みにじる場となっているなら、今、大会の関係者がすべきは心の病に苦しみ闘っている大坂選手への同情ではなく、「記者会見の強制」という制度の検証であるはずです。
注目のコメント
大坂なおみさんが20歳でツアー初優勝したときに自ら「史上最悪のスピーチ」と語ったスピーチがあります。ファンや、対戦相手や、対戦相手のチームや、大会関係者やボールキッズや、自分のチームや、スポンサー、家族への感謝をただ並べただけの、気取らないスピーチ。ずっと照れながら話す姿に拍手が何度も起きます。
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/naomi-osaka-the-best-speech-ever
これを聞くと、彼女が今回の棄権表明で語ったように、内向的で、人前で話すのが苦手で、そして正直な人であることがわかります。
鬱に苦しんでいるということで、まずはゆっくり休んで欲しい。『うつ病に悩まされてきた』と仰っているように、
わがままで会見を拒否しているのではなく、
そのような心の病が原因で本当に苦痛なのだと思います。
これはスポーツに限らず、どの分野にも言えることですが、
すぐれた能力の持ち主が、精神的にも非常に強いかというと、もちろんそうとは限りません。
すばらしい音楽をつくる人でも、ほとんど表にはでてこない方とかいらっしゃいますよね。
いろいろな気質の人がいるという前提で、会見は義務だ、というのは、今後見直されてほしいと思います。
このような、テニスの本質と違う問題によって、棄権することになってしまったことはとても残念です。
程度の差はあれど、心の病を抱えながら普通に社会生活を送っている人はたくさんいますし、なんかしら不都合を感じながらも自分でも気づいていない人もたくさんいます。
そのような人も、適切な介入や適切な対処により問題なく社会で活躍できます。その1例が、大坂選手にとっての会見にでない、という対処なのだと思います。「強そうに見える人」「最前線で戦っている人」が、図太いわけでも、傷付かないわけでも、全くない。
むしろ逆で、繊細で優しくて、まっすぐで不器用で、気遣いばかりし続けて、だからこそ、限界を超え、誤解され、非難されたりする。
大坂選手、ちゃんと言えて、本当によかった。
私はずっと、「大坂選手、大変そうだな、なんでみんな分かんないんだろうな」と思っていました。
こういう世界で必死で生きる人たちが、一体、どれだけの血の滲むような努力をして、ここに到達し、そして、どれだけのものを抱えながら、どれだけのことと戦い続けていかねばならないか。
Newspicksの読者の方々なら、ご想像できると思います。
ちなみに、これを書くことすら、私は、いまだに、とてもこわいです。
ーーーーーーーー
Naomi, please take care of yourself. We’re all looking forward to seeing you back to the court when the time is right!