揺らぐ「リスク回避の円買い」 対外純資産迫る2位転落
コメント
注目のコメント
米欧の金利が金融緩和によって低下して、それまで世界で最も低金利だった主要通貨の円をキャリーする(円を日本で借りて海外に投資する)動機がなくなってきています
リスク回避の円買いとはそのキャリーが逆に巻き戻ることですが、キャリーが少ない以上巻き戻りも少なくなりますから、一時期よりもそれは小さくなります
これは対外資産うんぬんというよりは金利差に伴う物理的な現象です。もっともそれが可能になるのも円の財務的健全性が背景にあるのですがそれが直接に影響しているというよりは円とその他の通貨の金利ギャップの大小によって説明できます対外純資産のGDP比で見れば、以前からアイルランドやオランダ、マルタ、ドイツあたりは日本よりも対外純資産/GDPは高かったですけどね。
あと、いくらドイツが猛追しても、通貨がユーロですから、ユーロ圏全体の対外純資産/GDPとかで比較した方がいいと思います。外国人が持つ1万円札は、いわば政府(日銀)が発行した日本国の借用証書です。稼ぎが大きく収支が黒字で多額の貯金を持つ家計の信用力が高いのと同じで、製造業を核に世界第2位の経済大国になり、その生産力を背景に世界との取引で国全体が黒字、つまり経常収支が黒字で大きな対外債権、つまり外国への貯金を持った日本の借用証書、つまり円が高い信用力を誇ったことは想像に難くないところです。
世界第2位の経済大国を降りたとはいえ経常収支が黒字で大きな対外債権を持っているので円は今も信用されているわけですが、政府が巨額の赤字と借金を抱えた状態で民間が節約を止めると、日本全体が赤字になる可能性が高まります。新型コロナ禍で政府の赤字と借金が一段と膨らみ、政府が配ったお金が家計に滞留して将来の消費を増やす可能性が高まっています。コロナ禍で収益が悪化した企業の蓄えも乏しくなっているでしょう。仮に民間がそうした事情でこれまで以上にお金を使い出し、政府も赤字を減らさなければ、国全体が赤字になって、357兆円かそこらの貯金(≒対外債権)が底をつくことはあり得ます。なにせ、1000兆円を大きく超える政府の借金と比べると、357兆円は決して大きくないですからね。
通貨の強さは国の強さです。有事の円買いが弱まったという指摘は、日本の強さが弱まっていることに通じます。経常収支が黒字で対外債権国である限りそれなりの安定は続くでしょうが、大事な警鐘と受け止めておく必要はあるように感じます (・・;ウーン