【最前線】北極が「新たなフロンティア」だ
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記事中で、国土の一部が北極圏にある国として8カ国挙げられていますが、この8カ国は北極圏開発について協議するための組織として1996年、北極評議会(AC)を設立しています。
北極圏開発に強い関心を示す中国は域外国ですが、従来から「北極圏は人類共通の財産」と主張、2013年にはACのオブザーバー入りし、米国やロシアが一方的に影響力を行使しないよう牽制してきました。(日本も中国と同じタイミングでオブザーバー資格を得ています)
米国、ロシア、カナダ以外のAC構成国(デンマーク、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)はいずれも小国で、中国としては、この辺りの国々との関係をテコに北極圏での影響力を拡大する思惑もあるように感じられます。実際、2017年には習近平国家主席が、トランプ大統領との会談のために訪米する直前にフィンランドを訪問、北極圏を巡る協力で合意しています。
北極圏は大国の思惑が交差する地政学上の新たな焦点でもあり、今後の動向に要注目です。
注目のコメント
Quartzの英語版の特集シリーズ<Field Guide>から、今週は「北極」に迫った「Opening the Arctic(https://qz.com/guide/opening-the-arctic/)」をお届けします。
地球温暖化による北極の氷の現象は、気候変動の弊害として考えられることが多い一方で、新たなビジネスのチャンスももたらしています。
特集内の別記事で、NASAのアレク・ペティ氏は「北極圏の氷はあと数十年で消失すると予想している。重要なのは、”If”ではなく、”When”についての話であるということだ」と話しています。
👉https://qz.com/2011257/what-a-melting-arctic-means-for-the-world-and-the-planet/
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「通年で通れないと、航路の運営が難しくなる。また、ロシアの砕氷船にエスコートしてもらって通る際にも、不確実性がかなり存在する。エスコート船の予約や、エスコート料金が通過するまで確定しないなど、いろいろな問題がまだ残っている。
このような状況で、果たしてヨーロッパに向かうコンテナ船が通れるのかは疑わしい。また、北極海航路では、スエズ運河ルートのように途中で寄港する所がないので採算を取りづらい。新しいルートとして定着するのは、今のところ難しい」
ヤマルのLNGを除くと、多くの海運会社が乗り気ではなく、課題もかなり多いです。北極の氷の減少は、生態系への悪影響や地球温暖化の加速、資源争い、眠っているウイルスなどの流出など意外にも論点が多くあります。
法的には、北極圏に隣接する国々の間では一部領土争い(国境策定)があり、これが過熱する可能性があります。ロシアが積極的に利用する航路はロシアEEZ内なので、不当な拿捕などが行われる可能性もあると指摘して、現状でも利用しない国・企業があります。
UNCLOS(国連海洋法条約)上の紛争も増えるでしょう。
政治・経済的には、ロシアの軍事基地化戦略とデンマークなどによる非軍事化方針の対立など、多くの面で既に関係国の方針が矛盾しています。
中国は、グリーンランドやアイスランドへの影響力行使を通じて「氷のシルクロード」などの北極圏への勢力圏拡大を狙っています。
ナイキは環境への影響などを考慮して、北極海航路を利用しないことを宣言(2019年)していますが、今後どの程度このような動きが広まるか気になります。重要なのは、特に利用数が多いアジア向けLNG船の利用有無です。
関連: 2021/5/26「ロシア、北極圏で軍事力強化 米中に優位保つ」
https://newspicks.com/news/5879656?ref=user_6023178