2021/6/1

【真相】なぜアパレル業界は「ウイグル綿」に依存するのか? 

NewsPicks 記者
5月19日、アパレル業界に衝撃的なニュースが飛び込んできた。
ユニクロを運営するファーストリテイリングのシャツが、今年1月に米税関で止められていたことが明らかになったのだ。
米国は、新疆ウイグル自治区で生産された綿花など、強制労働などによって手掛けられた疑いのある製品の輸入を禁止している。
該当するシャツは「中国製の綿花を使用していない」(ファーストリテイリング)としているものの、米税関はそれを証明できないとして、商品の輸入を認めなかった。
ユニクロといえば、アパレル業界の中では率先してサプライチェーンの管理に努めてきた企業だ。NGOによる人権対策格付けも、日本企業の中では上位に位置している。
そのユニクロでさえも、米国から刺されてしまった──。
米国に商品を入れられないとなれば、当然、ビジネスにも影響が出る。そのためサプライチェーン管理が甘い企業を中心に、アパレル業界はパニック状態に陥っているというわけだ。
しかし一方で、明確に新疆産の綿の使用停止を明言する企業は少ない。日本企業ではワールドやミズノなど数社にとどまる。
なぜ多くのアパレル企業は、新疆産の綿から撤退しないのか。
取材を通じて、ウイグルとアパレル業界の間に横たわる、簡単には関係を断ち切れない構造問題に行き着いた。
アパレル業界が新疆産の綿に依存する理由について、解き明かしていこう。
新疆綿は新疆ウイグル自治区で栽培された綿花のうち、繊維の平均の長さが35mm以上の希少な高級素材を指す。本記事では、新疆ウイグル自治区で生産されたすべての綿を「新疆産の綿」、希少な高級素材を「新疆綿」と表記する