[26日 ロイター] - 日銀の鈴木人司審議委員は26日午後、山口県金融経済懇談会後の記者会見で、政策点検後の長期金利停滞について、個人的には残念な思いもあると述べた。米国金利の落ち着いた推移や、政策点検の通過で金利の許容変動幅を巡る不確実性が後退したことなどが金利停滞の要因と説明した。一方で、コロナ禍で借り入れを増やした企業が資金返済時に新たな資金繰り不安に陥る可能性に警戒感を示し、情勢の変化に合わせた政策対応が必要だと述べた。

日銀は3月の政策点検で長期金利の許容変動幅を明確化した。鈴木委員は午前のあいさつで、長期金利がプラスマイナス0.25%程度の範囲で変動することは「絶好の買い場と売り場があることを意味する」と述べ、市場機能が働く中で金融機関の資金運用ニーズが満たされれば、金融システムの安定維持にもつながると語った。

鈴木委員は会見で「もう少し金利が動いてほしい気持ちもあるが、中長期的に動く要因があれば動くのではないか」と述べた。

上場投資信託(ETF)については、出口戦略を議論する時期になっていないとする一方、保有額がどんどん増えるのは望ましくないと語った。

<借り入れ返済時期に資金繰り不安再燃も>

鈴木委員は新型コロナ対応の特別プログラムについて「必要があればさらなる延長も検討する」と述べた。具体的な判断時期は「今後の情勢を踏まえて適切に考えていきたい」と述べるにとどめた。

鈴木委員によると、懇談会では地元経済界・金融界の出席者から、足元の資金繰りは落ち着いているものの、今後返済が始まる時期にキャッシュフローが十分に戻ってきていないと新たな資金繰りの厳しさが出てくるとして、「さまざまなサポートが必要だ」との声が出ていたという。

鈴木委員は、今までとは違うかたちでの資金繰りの厳しさが出てくるので、今までとは異なる貸出促進支援策が必要になる可能性があると指摘。現時点では何も決めていないが「その時点、時点で必要な政策を考えていくことになると思う」と述べた。