VCにおける「再投資」(リサイクル)
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米国では、ほとんどのVCファンドが、投資で得た株式を売却して手にした利益をリミテッドパートナーに分配する代わりに、新たな投資に使えるようにする「リサイクル」条項を設けているということで、Union Square VenturesのFred Wilson氏がメリットを解説した記事を翻訳しました。
注目のコメント
フレッド・ウィルソンも述べているように、アメリカではVCがリサイクル枠を設定するのは一般的で、弊社でも然るべきリサイクルの割合を定めています。
リサイクル投資を行うことで、ファンドの投資金額自体が増えるので、LPにとっても財務的なリターンが大きくなる可能性を秘めています。
一方で、そもそもエグジットする投資先が出てこないとリサイクル投資には回せない、エグジットするタイミングがファンドの運用期間の後半だとリサイクル投資には回しにくい(一般的にVCファンドは5年間の投資期間+5年間の回収期間=計10年運用)という点があるので、すべてのVCが取れるオプションというわけではありません。
日本ではリサイクル枠を設けているVCをあまり聞かないのですが、VCの仕組みや業務がアップデートする中で、リサイクル枠を活用した投資が積極的に行われることを願いたいです。リサイクル枠はマネージメント費用が追加で必要のない真水の投資のためのお金になります。この条項はVCへの投資家にとって有利な条項ですが、行使できる条件は投資期間の早目の時期にExitが出ることが必要で限られます。
仮にリサイクル枠を使わなければ次のファンドを募集し投資を実行することになるのですがそうなるとその投資実行分にはマネージメントフィーの分が乗っかってきます。GP側の視点で見るとそうなります。なぜGPとしてはリサイクル枠をとるインセンティブがあるかというとリサイクル枠の利用により投資効率が上がりIRR等の数字がよくなるからです。
仮にIRR等を気にしなければGP側にはメリットがない条件とも言えますが、ファンドのリターンを上げるには良い条項だと思います。
個人的な経験では、日本の投資家の方にはなぜかあまりポジティブに捉えられていないリサイクル枠の設定ですが理解が進むと良いなと思います。