米大学が“サンド型”全固体電池、3分で充電し1万回超利用可能
日本経済新聞
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硫化物系の固体電解質層にもう1つの層を導入したことで、ハイレート(20C)で一万回以上の充放電が可能になったという研究成果ですね。大きさはコインセルで薄い薄膜型の全固体電池なので、村田製作所やTDKが発表しているものと同じタイプです。
このアプローチはQuantumscapeのセラミックセパレータを使って、負極のリチウム金属が充放電を繰り返してもデンドライトの成長を防ぐのと同じ発想のようです。
元々硫化物系は柔らかいのが特徴で、塗りやすい為、こうした発想は十分考えられます。ポイントは固体電解質材料の組合せと最適な組成探索、界面形成でしょう。
また全固体電池は固体電解質を使うため、今回の例から更に進んで、正極と負極の電解質を変える発想も有ります。それぞれの極に最適な電解質を使うことで、電解質と活物質間のSEIの形成をより良いものにする狙いです。今回はどちらの極にも同じLPSIを使ってますね。
一万回以上の充放電試験を全固体電池で行ったケースはなかなか公表された記憶が無いのでよく頑張ったという印象ですが、実験や構造のアプローチはそれほど目新しいものだとは思えません。
最近では、マテリアルズインフォマティクス(MI)を使って材料探索して、充放電のシミュレーションすることで、数年かかったであろう一万回の試験時間を短縮する方向に各研究機関は向かってます。先日の東工大の全固体セミナーでもMIの発表をしていましたので、研究を加速するためにもこれからの成果に期待したいところです。