[ロンドン 24日 ロイター] - 英銀大手HSBCのノエル・クイン最高経営責任者(CEO)は、同行が暗号資産(仮想通貨)のトレーデイング事業に参入したり、投資商品として顧客に暗号資産を提供する計画はないと述べた。

ボラティリティーが高すぎ、透明性に欠けることが理由という。ロイターに明らかにした。

ビットコインは今年の高値から50%近く下落している。

クインCEOは「ボラティリティーのため、資産クラスとしてのビットコインに関心を持っていない。ウェルスマネジメント部門で資産クラスとしてビットコインを奨励するつもりもない」と発言。

米ドルなどを裏付け資産とする仮想通貨「ステーブルコイン」についても「同様の理由で、急いで参入することはない」と述べた。

仮想通貨については、所有者の透明性を評価することが難しいことも懐疑的な見方の一因になっていると指摘。

一方で、CEOは米中などいくつかの国が取り組んでいる中央銀行デジタル通貨(CBDC)については信頼していると説明。「CBDCは電子財布における国際的なやり取りをより容易に促進することができる。摩擦コストを排除し、透明性のあるやり方で運用され、価値の保存という特性も強くなる公算が大きい」と語った。

その上で、HSBCは英国、中国、カナダ、アラブ首長国連邦(UAE)といった国々を含むいくつかの政府とCBDC構想について話を進めていると付け加えた。

クインCEOは「私はビットコインを決済手段というより資産クラスと考えているが、ボラティリティーが非常に高いため、顧客のバランスシート上のビットコインをどのように評価するのか非常に難しい問題がある」と述べた。

「そうなると、価値の保存を巡る懸念に対処するため、裏付けとなる一定の準備金があるステーブルコインに行き着くことになるが、ステーブルコインは誰が後援組織なのかや準備金の構造、アクセスのしやすさに左右される」と述べた。

今月のメディア報道によると、UBSなど欧州の他のライバル行は、投資商品として仮想通貨を提供する方法を模索している。