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ゲル以外の物質でも確認するみたいなフェーズはずっと先なんでしょうか。
マクロ現象は見かけ上ミクロ現象からは想像できないことが起き得ます。最近では長年信じられていた説明がたびたび覆されているので、教科書を盲目的に信じるだけではダメだなと思い知らされます。また、ミクロ方向の還元主義だけが「面白い」物理ではないなと実感しますね。
「負のエネルギー弾性」や「エントロピー弾性」などの、見かけ上パワーワードチックな単語がでますが、熱力学を覆すようなことが起きているわけではありません。
従来の弾性の熱力学では、張力fの温度に比例しない項をエネルギー弾性、比例する項をエントロピー弾性と呼んでます(例えばf=a-Tb、等温過程ヘルムホルツ自由エネルギーの長さ方向微分の項に対応して命名)が、対象は降伏点以下の固体(線形応答領域)とゴムくらいで、ゲルの弾性についてはゴムと同じ理論で説明されて来たようです。
固体の弾性は圧縮で発熱するのでエネルギー弾性は正(圧縮で内部エネルギーが増える)。ゴムは圧縮で吸熱する(冷える)ので、マイナスの項であるエントロピー弾性が優勢。しかし、ゴム張力は高温域で絶対温度に比例するという実験結果から、全てエントロピー弾性の項のみとなり、エネルギー弾性はゼロ(上の式で言えばa=0、つまり切片ゼロ)。
これまでこの2つしか例が想定されていなかったので、エネルギー弾性が負になる場合は現実にはないと考えられていたのが、今回の詳細な実験でゲルは明確に負のエネルギー弾性の項(a<0)を持つことが示された、ということだと思います。
今後、ゲル圧縮で内部エネルギーが減るメカニズムは何か、という次の謎解きが始まりますね。楽しみです。
「ずっと眠っていたテーマだったからです」
「そして物理学者の作道先生の薫陶を受けながら」
「吉川くんは圧倒的に成長したと思います」
あ、コレ↓は水の、温度による体積変化のフシギとも関係あるのかもですねぇ また、細胞内でコレをexploitした現象もあるかもですし こういうのが面白いんでしょうねぇ、科学者の方々は
「本研究によって、この負のエネルギー弾性はゲルの溶媒 (水) が原因であることは分かっていますが、具体的なメカニズムについては現在研究中です。」