[20日 ロイター] - 動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)は20日、共同創業者の張一鳴氏が、最高経営責任者(CEO)を退任すると明らかにした。後任には、共同創業者で人事部門の責任者を務める梁汝波氏が就く。

張氏のCEO退任はロイターが同社の従業員向けメモを基に最初に報じていた。

バイトダンスの声明によると、張氏は年末に「主要戦略」職に就く予定。

張氏は社内メモで、梁氏について、「かけがえのないパートナー」でバイトダンスのテクノロジーや人事面で貢献してきたとし、今後半年間かけて円滑な移行を進めると説明した。

張氏は数カ月検討した結果、CEOから退任した方がバイトダンスの長期的取り組みにより大きな影響を与えることができるとの結論に達したと明かした。

「実は私は、理想的なマネージャーに必要なスキルを一部欠いている。実際に人を動かすよりも、組織や市場原則の分析、そうした理論をマネージメント業務の省力化に活かすことに興味があった」と説明。さらに「自分はあまり社交的でなく、オンラインや読書、音楽鑑賞、可能性の思索など一人ですることが好きだ」とも述べた。

バイトダンスは現在、世界で10万人以上の社員を抱える。今年に入り、新規株式公開の準備をしていたが、4月に計画を中断した。

関係筋が以前ロイターに明らかにしたところによると、張氏はバイトダンスの20-30%を保有。議決権の50%超を握っている。

ブルー・ロータス・キャピタル・アドバイザーズのマネジングディレクター、Shawn Yang氏は「過去の経験によると、新規事業への投資がスローダウンする可能性がある。新たな経営陣には調整のための時間が必要で、新規事業よりも既存の事業に注意を払う可能性がある」と述べた。

北京のテクノロジーアナリスト、Li Chengdong氏は「張氏はIPOで資産が急増し、メディアの注目を集めることを懸念しているのではないか。中国では資産家が厳しい立場に立たされる。正当に評価されない」と述べた。

中国では、他にも一部のハイテク企業の創業者が日常業務から退いている。

電子商取引大手ピンドゥオドゥオを創業したコリン・ホアン氏は昨年、CEOを退任。今年3月には会長職も辞任した。