[ジャカルタ 17日 ロイター] - インドネシアの配車・決済サービス会社ゴジェックとEコマース大手トコペディアは17日、経営統合すると発表した。インドネシアで史上最大規模の合併で巨大ハイテク企業が誕生する。

統合後の新会社は、インドネシアでネット通販、国際宅配便、配車、食品デリバリーなどのサービスを展開する東南アジア最大の未上場ハイテク企業となる。

両社の幹部によると、新会社は年内にインドネシアと米国に上場する計画。

トコペディアには、アリババ・グループ・ホールディング、ソフトバンクグループ、シンガポールの政府系ファンドのGICが出資。ゴジェックはアルファベット傘下のグーグル、ウォーバーグ・ピンカス、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)などを株主に持つ。

ゴジェックとトコペディアについては今年1月、複数の関係筋が180億ドル規模の合併で交渉していると話していた。

統合会社の名前は「ゴートゥグループ(GoTo Group)」。共同発表文は、ゴートゥグループの現在の価値を示さなかったが、両社の過去の資金調達時の評価を踏まえると180億ドル相当と説明した。

ゴジェックのアンドレ・ソエリスティオ最高経営責任者(CEO)がゴートゥグループのCEOに、トコペディアのパトリック・カオ社長は社長にそれぞれ就任する。

カオ社長は「われわれのビジネスモデルは一段と多様、安定、持続可能になる。ゴジェックの大規模、高速なモビリティ取引がトコペディアの高価値、中速度のEコマース取引と組み合わさる」と述べた。

関係筋によると、ゴジェックの株主が新会社の株式58%を、トコペディアの株主が残りの株式を保有する。

カオ社長は記者団に「ゴートゥはインドネシアの個人消費の3分の2をカバーできる唯一無二の能力を持つ」と述べた。

両社は、アルファベットのビジネスモデルを採用し、引き続き別個の企業として経営するが、決済、物流、食品デリバリーでは協力する。

インドネシアでは電子商取引が拡大している。グーグル、テマセク・ホールディングス、ベイン・アンド・カンパニーの2020年の調査によると、デジタル経済の規模は2025年までに1240億ドルに達する見通し。

東南アジアでは、地域最大の配車サービス企業グラブ・ホールディングスが先月、上場に向けて米特別買収目的会社(SPAC)と400億ドル相当の合併で合意。eコマースプラットフォーム「Shopee(ショッピー)」を展開するシンガポールのインターネット企業Sea(シー)は食品デリバリーや金融サービスに参入しようとしている。

モメンタム・ワークスのジアングガン・リー最高経営責任者(CEO)は「ゴートゥは、ショッピー、グラブなど域内の大手ライバルとの厳しい競争を迫られるだろう」と指摘した。

ゴートゥの幹部は、新会社の金融部門にも期待を寄せている。同部門はインドネシアのデジタル銀行Bank Jagoに22%出資する予定。融資業務も行う。

インドネシアでは人口2億7000人の半数が、銀行口座を保有していないが、携帯電話は大半の人が保有している。

ゴジェックのファイナンシャルアドバイザーはゴールドマン・サックス、トコペディアのファイナンシャルアドバイザーはシティ。