2021/5/18

【徹底調査】過熱する不老物質「NMN」の本当とウソ

NewsPicks 副編集長(サイエンス担当)/ 科学ジャーナリスト
老化・寿命研究の第一人者、米ハーバード大学医学大学院のデビッド・シンクレア教授が、「毎日飲んでいる」と語る「抗老化物質」がある。
NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)。体内で、長寿に関わる酵素、サーチュインを活性化させる効果があるという。
実は日本は、世界でもいち早く、NMNを原料とする商品が生まれた国だ。
現在、インターネット上にはNMN配合商品の広告があふれる。
「若返り効果」をうたう怪しげな「NMN点滴療法」を自由診療で行うクリニックも、都心部を中心に急速に増えつつある。
NewsPicks編集部は、第一線の科学者やNMNを扱う企業に取材するとともに、点滴療法を実施するクリニックへの潜入取材も試みた。
世界が注目する抗老化物質の真価とは──。
INDEX
  • 1粒5700円のサプリ
  • 2011年の論文で脚光
  • 長期投与マウスで抗老化作用
  • 初めて報告されたヒトでの効能
  • 生体内にない不純物を含む商品も
  • 点滴クリニックに潜入取材
  • パンフレットにシンクレア教授
  • 点滴用NMNの販売会社は取材拒否

1粒5700円のサプリ

金色のラベルが貼られた小瓶に、60粒のカプセルが入っている。白い粉末が詰まった、一見、何の変哲もないカプセル。
この1瓶の値段は35万円弱、一粒あたりに換算すると約5700円と聞けば、驚く人も多いだろう。