[14日 ロイター] -

<為替> ドルが主要通貨に対し小幅安。朝方発表された4月の米小売売上高が横ばいと、期待外れの内容となったことが圧迫した。インフレ加速観測も後退した。

終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数は0.5%安の90.317。

4月の米小売売上高は前月から横ばいにとどまり、市場予想の1%増を下回った。ただ、貯蓄は過去最高水準にあり、経済活動が再開する中、小売売上高は今後数カ月間で加速する可能性が高い。また、3月の数字は10.7%増に上方改定された。

キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、ジョナス・ゴルターマン氏は、小売売上高統計に加え、先週発表された4月の米雇用統計など、一連の低調な経済指標とインフレ高進の兆候の間で、ドルは伸び悩んでいると指摘。「金融政策の正常化が引き続き鍵となる」とし、来週19日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が注目されると述べた。

ユーロ/ドルは0.53%高の1.214ドル。週初に下落していた米株価が持ち直し、リスク選好度が高まったことがユーロを支えた。

英ポンドは今週、対ドルで約0.8%上昇。堅調な英景気回復への期待に加え、スコットランド独立の是非を問う住民投票が先になるとの見通しが追い風となった。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1.70%高の5万0517.66ドル。米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がテスラ車の購入でビットコインを使った支払いを認めない方針を示したことを受け、週間では13%超下落した。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 4月の米小売売上高が予想を下回ったことで国債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)はインフレ上昇は一過性のものとの見解を示しているが、市場でもこうした見方が広まりつつある。

終盤の取引で10年債利回りは2.4ベーシスポイント(bp)低下の1.644%。3月中旬に1.7%を超える水準に急上昇した後のレンジの中間近辺にある。

4月の小売売上高(季節調整済み)は前月から横ばいにとどまった。新型コロナウイルス対策の一つである現金支給の効果が薄れ、市場予想の1%増を下回った。3月の数字は前月比で当初発表の9.7%増から10.7%増へ上方改定された。

12日発表の4月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は、総合指数が前年比4.2%上昇し、2008年9月以来、約12年半ぶりの大幅な伸びを記録。市場ではインフレ率がFRBの目標を超えて上昇し、予想より早く利上げが実施されるのではないかとの観測が出ていたが、この日の小売売上高が軟調だったことでこうした見方は後退した。

みずほ証券の米国担当チーフエコノミスト、 スティーブン・リッチウト氏は「需要サイドによる物価上昇は一過性のものというFRBの見解が証明された」と語った。

ただ、コモディティー(商品)価格の上昇や供給網の阻害のほか、人材の採用難を反映した賃金の上昇などで物価は上昇するとの見方も根強い。インフラストラクチャー・キャピタル・マネジメント(ニューヨーク)の創業者、ジェイ・ハットフィールド氏は「インフレは一過性のものではなく、加速している」とし、FRBは「むしろ間違えている」と述べた。

30年債利回りは2.5bp低下の2.362%。

物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.69%、10年物が2.543%。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 大幅続伸。ダウ工業株30種は360ドル値上がりして取引を終えた。一方、週間では2月下旬以来の下落率となった。

ウェルスパイア・アドバイザーズの上級副社長、チャック・カールソン氏は「きょうは買いが膨らみ軒並み上げた」とした上で、「今週の大幅な相場変動は、長期投資というよりも短期トレードの動きを反映しており、市場は次の持続的な買い手掛かりを探している」と指摘。「インフレが最大の懸念材料であることに変わりはないが、金利が過去の高水準を超えない限り、強気派が相場の主導権を握り、それまで売り叩かれていた銘柄の一部を買い戻すだろう」と述べた。

経済指標では、4月の小売売上高が前月から横ばいで推移。5月のミシガン大消費者調査は信頼感指数が低下する一方、インフレ期待は10年ぶりの高さに跳ね上がった。

リフィニティブの調べによると、S&P総合500企業のうち457社が第1・四半期決算を発表し、87%が市場予想を上回る収益を計上した。

半導体銘柄が上昇。520億ドル規模の半導体生産支援法案が発表間近と報じられた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は3%高。

娯楽大手ウォルト・ディズニーは2.6%安。第2・四半期(4月3日まで)決算は、利益が市場予想を上回ったものの、注目されていた動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」の世界契約者数は予想に届かなかった。

民泊仲介大手のエアビーアンドビーは4%高。第1・四半期決算は、総予約額が52%急増の102億9000万ドルと、市場予想の69億3000万ドルを上回った。新型コロナウイルスのワクチン普及やコロナ制限措置の緩和が追い風となった。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を4.63対1の比率で上回った。ナスダックでは4.58対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は95億株。直近20営業日の平均は105億株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ドル安を受けた買いが先行し、続伸した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比14.10ドル(0.77%)高の1オンス=1838.10ドル。

外国為替市場では朝方にかけて、米長期金利の低下などを背景に対ユーロでドルが下落。金塊はドル建てで取引される商品としての割安感から買われた。朝方に発表された4月の小売売上高は前月比横ばいと、市場予想の1.0%増に届かず。ドル安の流れが継続し、米金利の低下と併せて、金は買われやすかった。金は週間では6.80ドル(0.37%)高で、2週連続の上昇。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 米株高やドル下落に伴う割安感を手掛かりに買い戻しが入り、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.55ドル(2.43%)高の1バレル=65.37ドル。7月物は1.52ドル高の65.36ドルだった。

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が前日、現行の金融緩和策を当面維持する見通しだと発言し、インフレに対する強い警戒感が和らいだ。米株式相場の続伸を眺め、同じくリスク資産である原油先物に対する投資意欲が回復。また、外為市場でドルが対ユーロで下落し、ドル建てで取引される商品に割安感が浮上したことも強材料となった。

このほか、米コロニアル・パイプラインは前日、全てのパイプラインシステムが再稼働し、メキシコ湾岸の製油所から東海岸への石油輸送を開始したと発表。ただ、出荷が通常に戻るには数日かかる見通しで、南・東部では依然として燃料不足が解消されていない。一方、石油消費大国のインドでは、新型コロナウイルスの流行に歯止めがかからず、14日朝の時点で新たに34万人超が感染。累計の感染者数は2400万人超、死者数は26万人超と厳しい状況が続き、需要の回復が遅れるとの懸念もくすぶった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 109.34/109.37

始値 109.35

高値 109.45

安値 109.21

ユーロ/ドル NY終値 1.2140/1.2144

始値 1.2112

高値 1.2149

安値 1.2111

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 100*19.50 2.3466%

前営業日終値 99*23.75 2.3870%

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.00 1.6352%

前営業日終値 99*19.50 1.6680%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.50 0.8177%

前営業日終値 99*18.50 0.8370%

2年債(指標銘柄) 17時00分 99*30.50 0.1490%

前営業日終値 99*29.88 0.1590%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 34382.13 +360.68 +1.06

前営業日終値 34021.45

ナスダック総合 13429.98 +304.99 +2.32

前営業日終値 13124.99

S&P総合500種 4173.85 +61.35 +1.49

前営業日終値 4112.50

COMEX金 6月限 1838.1 +14.1

前営業日終値 1824.0

COMEX銀 7月限 2736.5 +30.6

前営業日終値 2705.9

北海ブレント 7月限 68.71 +1.66

前営業日終値 67.05

米WTI先物 6月限 65.37 +1.55

前営業日終値 63.82

CRB商品指数 203.2924 +0.3445

前営業日終値 202.9479