[オタワ 13日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は13日、カナダドルが一段と上昇すれば輸出や企業投資への打撃となり、金融政策にも影響を及ぼすとの考えを示した。

総裁はこの日、大学生向けにオンラインで講演。講演後記者団に「(カナダ)ドル高はリスクだと強調してきた」と述べ、「さらに急速に(カナダドル高が)進めば、われわれの見通しに影響を与える。金融政策において考慮しなければならないことだ」とコメントした。

商品価格高を背景に、中銀が4月に最新の景気見通しを示して以降、カナダドルは約4%上昇、12日には6年ぶり高値を付けた。カナダは原油や鉱物などの主要輸出国。

総裁は講演で、量的緩和など新型コロナウイルス対策の一部が所得格差の拡大をもたらす恐れがあるとして、この問題を注視していく考えを示した。

量的緩和は需要の刺激や雇用の創出に役立つ一方、資産価値を膨らませて富を増やしていると指摘。「当然のことながら、増えた資産は社会全体に均等に分配されているわけではなく、結果として量的緩和は富の不平等を拡大させる可能性がある」と述べた上で、「国内外で量的緩和がもたらす影響を注意深く見極め、所得と富の不平等に対する影響をより完全に理解するよう努める」と表明した。

中銀は先月、毎週の国債の純買い入れ目標を従来の40億カナダドルから30億カナダドルに縮小するとともに、来年にも利上げに踏み切る可能性を示唆した。

マックレム総裁は、インフレ率が目標の2%を持続的に達成するまで、金利は現在の0.25%にとどまると繰り返し述べたほか、「完全な回復」を後押しするために金融政策手段を活用し続けると強調した。