[ブリュッセル 12日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は12日、2021年と2022年のユーロ圏経済の成長率見通しを上方修正した。2月時点では両年とも3.8%としていたが、21年は4.3%に、22年は4.4%とした。

ただ、一部の国では2022年末までに新型コロナウイルス危機前の水準を回復しないとの見方を示した。

欧州委は「EUおよびユーロ圏の経済は、ワクチン接種率の上昇や外出制限の緩和に伴い、力強く回復するとみられる。この成長は、個人消費や投資、世界経済の回復を受けたEU(製品)の輸出需要の増加がけん引役となるだろう」と述べた。

欧州委の予想は、国際通貨基金(IMF)が先月発表したユーロ圏の今年の成長率見通し(4.4%)に近づいた。

ただ欧州委は、加盟19カ国の回復ペースは一様でないと指摘。コロナ禍前の水準を回復するのは、ドイツが早くて今年末、フランスが22年第1・四半期、イタリアとスペインが22年末になるとの見方を示した。

新型コロナ危機対策により政府借り入れが膨張したことで、ユーロ圏の公的債務の域内総生産(GDP)比は2020年の100%から2021年は102.4%に上昇する。ただ、2022年には100.8%に低下するとの見通しも示した。

ユーロ圏の財政赤字は、2021年はGDPの8%にまで膨れ上がるものの、2022年には対GDP比で半減するとした。

欧州委のジェンティローニ委員(経済担当)は、加盟国の借り入れ上限の適用猶予を22年まで継続する必要があるとの考えを示した。

インフレ率は、2021年には1.7%に加速するが、2022年には1.3%に鈍化する見通し。欧州中央銀行(ECB)はインフレ目標を2%をやや下回る水準に設定しているものの、過去数年間達成できていない。

ジェンティローニ委員は「新型コロナウイルス復興基金(RRF)」による資金提供で22年の公共投資はGDPの3.5%に増加すると予想。このほか、米国の景気支援策の波及効果で、ユーロ圏のGDPは21年に0.3%ポイント、22年に0.2%ポイント押し上げられるとの見方を示した。