[マニラ 12日 ロイター] - フィリピン中央銀行は12日、政策金利の翌日物リバースレポ金利を予想通り過去最低の2.0%に据え置いた。回復の兆しが見えつつある景気の下支えに注力する姿勢を示した。

据え置きは4会合連続。ロイターが調査したエコノミスト13人全員が現状維持を予想していた。

中銀は翌日物預金金利と翌日物貸出金利も、それぞれ1.5%と2.5%に据え置いた。

ジョクノ中銀総裁は記者会見で「インフレ見通しと経済成長の下振れリスクを踏まえると、金融政策は現状を維持することが妥当だ」と述べた。

インフレ見通しのリスクはおおむね均衡しており、今年と来年は平均して2─4%の目標の範囲内に収まるとの見方を示した。

中銀は今年のインフレ率予想を従来の4.2%から3.9%へ引き下げる一方で、2022年は2.8%から3.0%へ引き上げた。

ジョクノ氏は「内需を継続して支えることが引き続き金融政策の優先事項となる」と述べ、当面は政策変更がないことを示唆した。

豚肉の供給不足を主な要因にインフレ率は高水準となっているが、一部エコノミストは年内は政策金利が据え置かれると予想。一方で追加利下げの可能性を排除していないエコノミストもいる。

キャピタル・エコノミクスのアジアエコノミスト、アレックス・ホルムズ氏は「インフレ率が年内に低下し始めれば、年後半に利下げが実施される可能性がある」と述べた。

フィリピンでは3月から新型コロナウイルス感染が再び急増し、厳格な移動制限が導入された。中銀は新型コロナが「需要に大きな下振れリスクをもたらす」と指摘した。

ワクチン接種がなかなか進まないことも景気低迷が長期化するリスク。リザル・コマーシャル・バンキングのエコノミスト、マイケル・リカフォート氏は、追加景気対策の財源が限られる中、経済は依然、支援措置を必要としていると指摘した。

ドゥテルテ大統領は12日、新型コロナ対策の財源確保に向け、全省庁に予算で削ることができる部分を特定するよう指示した。