[ロンドン 12日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が12日に発表した3月の国内総生産(GDP)は前月比2.1%増加し、伸び率は市場予想の1.3%を上回った。

新型コロナウイルス流行に伴う冬季のロックダウン(都市封鎖)から回復し始める中、小売り分野、学校と建設分野の再開が成長をけん引した。

3月はサービス部門が前月比1.9%成長。昨年8月以来の大幅な伸びとなった。製造部門と建設部門もアナリスト予想を上回る成長を見せた。

ユーラー・ヘルメスのマクロ経済調査責任者、アナ・ボアタ氏は、コロナ規制緩和により、夏に向けて事業活動が活発化していく可能性があるとの見方を示した。

3度目のロックダウン下にあった第1・四半期のGDPは前期比1.5%減。英中銀の最新見通しに沿う内容となった。

スナク財務相は「厳しい今年のスタートとなったものの、3月の経済成長は前向きな兆候だ」と指摘。「経済再開が慎重に進む中、回復支援に必要なあらゆる措置を引き続き講じる」と述べた。

英国経済の規模は、新型コロナ流行が欧米に打撃となる前の2019年末時点を依然として8.7%下回っている。英中銀は今年末までに流行前の規模に戻ると見込んでいる。

パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、サミュエル・トゥーム氏は、第1・四半期は予想したほどの落ち込みではなかったものの、英国は日米欧7カ国(G7)の中で4四半期連続で出遅れたと指摘した。ただ第2・四半期は5%成長が見込まれ「ついにG7内最下位を脱することになる」と述べた。

第1・四半期の企業投資は約12%減少した。ONSは、一部企業が欧州連合(EU)単一市場離脱に伴う混乱を避けようと投資計画を2020年終盤に前倒ししたり、今年4月施行の新たな税優遇措置を利用しようと投資を先延ばししたと説明した。

これとは別の貿易統計では、第1・四半期における英国のモノの輸入は、欧州連合(EU)各国からよりも非EU各国からのほうが大きくなった。統計を取り始めた1997年以来で初めての現象だ。

ONSは、これがトレンドの始まりなのか短期的な現象に過ぎないのか判断するのは時期尚早と指摘した。

ONSの統計専門家、ダレン・モーガン氏は「EU向けのモノの輸出は3月も引き続き増えており、現在ではほとんど12月の水準に戻っている。しかし、欧州からの輸入は第1・四半期もさえないままで、統計開始以来初めて非EUからの輸入に追い越された」と語った。