[東京 12日 ロイター] - トヨタ自動車は世界で脱炭素化への流れが加速する中、ガソリン車から二酸化炭素(CO2)排出量の少ない電動車へのシフトを強化する。同社は12日、2030年に電動車の世界販売を800万台とする目標を発表した。

内訳は、走行中にCO2を出さない電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)で200万台、ハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)で600万台。

従来は25年ごろに電動車販売を550万台以上、うちEVとFCVで100万台以上とする目標を掲げていた。

30年の地域別の電動車販売比率は、欧州で100%、日本で95%、北米では70%と一定量のガソリン車などが残ると想定する。このうちEVとFCVの割合は、日本では10%にとどまり、北米で15%、欧州で40%とみている。中国では政府の規制に基づき、35年に電動車販売比率が100%に達する計画だ。

この日の21年3月期決算説明会で目標を示した。長田准執行役員は「目標を実現するためには180GWhと今の30倍の電力供給量が必要になる」と指摘。EVの生産ラインでは「今の2ラインから30倍の60以上のラインが必要になる」といい、「積極的に投資していく」と述べた。

EVの開発リードタイムも「現状より15%から30%くらい短くしていきたい」とし、「PHV・HVと同じプラットフォームへのEVの共有化も検討し、EVの供給力を高めていきたい」と話した。

前田昌彦執行役員は、20年代前半に実用化を目指す全固体電池に関してはまだ開発途上にあり、「技術的にはまだハードルが高い状況」と説明。「安全性や耐久性をクリアできる段階ではない。それをクリアできるような材料開発に特化している」と述べた。

全固体電池は、現在バッテリーの主流であるリチウムイオン電池よりも安全性やエネルギー密度が高いため次世代電池として期待され、各社が開発を急いでいる。

HVはモーターとCO2の出るガソリンエンジンを併用するため、海外勢を中心にEVを電動車の主力とする動きが進んでいる。ホンダも4月、40年には販売する新車すべてをEVとFCVにし、ガソリン車とHVの販売を止める目標を公表。EV市場には他産業からの参入も相次いでいる。

ただ、日本のように住宅事情から充電スタンドを設置しにくい環境などもあり、トヨタは得意のHVを今後も電動車の主力として位置づけつつ、選択肢を増やして各市場に最適な電動車を投入する。