[東京 12日 ロイター] - トヨタ自動車は12日、2022年3月期の連結業績予想(国際会計基準)について、営業利益が前期比13.8%増の2兆5000億円になる見通しと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響は一巡し、主力市場を中心に販売は急回復しており、すべての地域で伸びを見込む。

アナリスト24人による市場予想の平均値(IBESのコンセンサス予想、2兆6480億円)は下回った。

販売増加を主因に今期営業利益は前期から約8500億円押し上げられる見通し。希少金属など原材料価格の高騰が減益要因となるが、3000億円規模の原価改善でできるだけマイナスの影響を抑える。

今期の純利益は前期比2.4%増の2兆3000億円、売上高に相当する営業収益は同10.2%増の30兆円を見込む。

今期業績予想の前提となる為替レートは1ドル=105円(前期は106円)、1ユーロ=125円(同124円)。

<日本・北米・中国では「想定より早期に回復」>

近健太・最高財務責任者(CFO)はオンライン会見で、コロナ感染拡大の影響について、主力市場の日本、北米、中国では「想定より早く回復してきている」との認識を示した。インドなど一部地域では感染拡大が深刻化しており影響が大きくなっているものの、東南アジア全体は主力市場に比べ「スローではあるが、回復してきている」と述べた。

世界的な半導体需給の逼迫に関して、近CFOは「足元で数十万台といった大きな影響が出るとは現時点で見通してはいないが、予断を許さない状況」と説明し、今期業績予想には「リスクとして織り込んでいる」と述べた。年初の計画から生産を上積みしていく予定を直近では立てていたが、「少し慎重にみている」と語った。

日野自動車、ダイハツ工業を含むグループ世界販売計画(小売ベース)は、前期に比べて約6.4%増1055万台。このうち、北米が18%増の272万台、中国を含むアジアが11%増の136万台、日本が2.4%増の217万台をそれぞれ見込む。

同時に発表した21年3月期連結決算では、営業利益が前の年に比べて8.4%減の2兆1977億円となった。営業収益は同8.9%減の27兆2145億円。下期にかけて急回復したが、コロナ感染拡大の影響で販売が低迷した。純利益は10%増の2兆2452億円だった。