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でも、あえてこのタイミングで発表したのは、持続可能な財政構造に持っていくための具体的議論がタブー視されている現状に強い危機感を抱いたからです。若者やまだ生まれていない将来世代の負担に頼っていいのか?という問題意識です。
有事の際は財政が膨らむ、補正予算が十分なガバナンスなく使われ、ワイズスペンディングだったかどうか検証がない・・・
米欧ではコロナ禍で悪化する財政再建の議論が既に始まっています。
1月に内閣府から公表された中長期財政試算のベースラインケースを前提とすると持続可能性はありません。大規模な自然災害が起きるとさらに財政負担が生じます。首都直下地震はいつ起きてもおかしくありませんし、2030年代の発生が予測されている南海トラフの被害予想は220兆円といわれています。
また、財政影響の大きな社会保障について、一定の年収のある後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる法案が衆院を通ったところですが、応能負担はこれで終わりにしてはいけませんし、介護もどうするのか?まだまだ課題は山積みです。
同友会では、「次世代(若者)」と「多様性」をキーワードに様々なステークホルダーが日本の将来課題を自由闊達に議論し、政府に国民の声を届ける舞台装置として「未来選択会議」を立ち上げました。財政・社会保障の問題についても同会議のテーマとして取り上げ、みなさんと国民的議論を喚起していきたいと思っています。
提言の詳細は経済同友会のHPでご紹介しています。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2021/210511a.html
いくら財政黒字化できなくても、民間部門の過剰貯蓄が続けば、金利も物価も上がらないと思いますが。
逆にそんな状況で無理やり黒字化目指したら永久に経済が正常化しないと思います。
いい加減、日本の経済団体もグローバルスタンダードなマクロ経済理論を習得してほしいものです。
でもねぇ・・・ 政府が借金を積み上げ続けて経済が回るなら、そもそも税金なんて無くして全て国債で財政を賄えば良いのです。そんなことが続けられる筈がありません。売れば直ぐにカネになる天然資源に乏しい我が国で政府と国民が分けて使える所得は、国民が国内で働いて生み出す価値しかありません。そのうち政府の取り分は税収で、残りが民間の取り分です。国民から借金して政府はこれまでに1200兆円分使い過ぎましたが、民間がそれ以上に節約したので我が国全体では生み出した価値が余り、余った分を外国に売って日本は対外債権国になったのです。この構図がある限り、官民併せた日本国全体として収支が合っていますから、政府が借金で財政を賄っても破綻せずに済んでいるのです。
しかし、政府が財政赤字を続ける中で家計と企業が自分の取り分と過去の貯蓄を積極的に使い始めたら、この構図は崩れます。日本全体として生み出す価値が費消に追いつかず、不足する分を外国から借金して買い始めたら、高い金利を払わなければ国債が売れなくなってインフレを招くのは必定です。簡単に起きないとはいえ万が一にもそうなって経済が混乱したら、そこから立て直すのは容易なことではありません。だからそうなる前に、過去の借金は国民の貯金と見合いで塩漬けにして、せめてこの先、政府の基礎的な支出だけは税収で賄って、新たな国債を発行して外国から高い金利を要求される構図だけは無くそうというのがプライマリーバランスの黒字化です。
アルゼンチンもブラジルも、将来を嘱望される豊かな国だと私は小学校で教わりました。しかしその後の放漫財政と対外債務の不履行で混乱し、今は見る影もありません。社会に出て銀行で働き始めて10年ほど経ったのち、その混乱に伴うリスケに立ち会って、その後の悲惨な動きを見て来ただけに、経済同友会の提言を無視する気にはなれません (・・;