[東京 10日 ロイター] - アジア時間の原油先物は約1%上昇した。米パイプライン最大手のコロニアル・パイプラインがサイバー攻撃を受け、操業を全面的に停止した問題を受け、石油インフラの脆弱性が浮き彫りになった。

0645GMT(日本時間午後3時45分)現在、北海ブレント先物は0.57ドル(0.8%)高の1バレル=68.85ドル。米WTI原油先物は0.51ドル(0.8%)高の65.41ドル。

先週はそれぞれ1.5%、2%以上値上がりしていた。

コロニアルのパイプラインはガソリンなどの燃料を1日250万バレル輸送し、米東海岸の燃料供給の半分近くを占めている。

ホワイトハウスは、復旧を支援するため会社側と緊密に連携していると明らかにした。

コロニアルは9日、主要なパイプラインは依然停止しているものの、石油ターミナルと輸送拠点を結ぶ小規模ラインの一部を再稼働したと発表した。全面復旧のめどは明らかにしなかった。

同社のパイプラインを米国の「インフラの頸部」と呼ぶアナリストもおり、操業停止が長引けば夏場のドライブシーズンを前にガソリン価格が急騰し、米消費者や経済に痛手となる可能性がある。

米ガソリン価格は約2%高。ヒーティングオイルも1%超上昇している。

エナジー・アスペクツのアナリストは「パイプラインは数日で復旧すると予想している。このため、ルイジアナ州やテキサス州東部の製油所への影響は限られるだろう」とし、国内の燃料在庫の水準に「不安はない」と述べた。

ゴールドマン・サックスは、石油需要が年内に新型コロナウイルス流行前の水準に戻ると予想。向こう半年の北海ブレント価格を1バレル=80ドル、WTIを77ドルと予想した。

同社のアナリストはリポートで「国際石油市場の供給不足は、現在の日量100万バレル前後から大幅に拡大するだろう」とし「石油需要が年内に日量1億バレルに達するとの予想を変えていない」と述べた。

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