［１０日　ロイター］ - オーストラリアのカジノ運営大手、スター・エンターテインメント・グループは１０日、国内同業のクラウン・リゾーツに対し、９４億８０００万豪ドル（７４億４０００万米ドル）超での買収を提案したと明らかにした。

スターは、クラウン株１株につき自社株２．６８株を提供するとし、自社の株価が５豪ドル超に相当するという推計に基づき、クラウン株の価値を１株１４豪ドル超と評価している。スター株の直近終値は３．９１豪ドル。

同社の提案には、クラウンの発行済み株式総数の２５％を上限に、１株当たり１２．５０豪ドルの現金を支払う代替案も含まれている。

クラウン株の直近終値は１２．１２豪ドル。

同社を巡っては、米プライベートエクイティ（ＰＥ）大手ブラックストーン・グループが買収提示額を１株１２．３５豪ドルに引き上げたばかり。一方、米投資会社オークツリー・キャピタルは、クラウン・リゾーツ創業者のジェームズ・パッカー氏が保有する３７％分の株式を３０億豪ドルで買い戻す計画に資金提供を行うと提案している。

スターは合併後、不動産ポートフォリオの一部を売却してリースバックし、現金を確保することを検討している。

両社の株式を保有するウィルソン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジョン・アユーブ氏は、スターの提案について「シナジー効果があり、さらにセール・アンド・リースバックにより、両社の株主価値を最大限に実現するための買い戻しを行う資金が得られる」と述べた。

投資家はこの買収案を高く評価し、１０日の寄り付きで両社の株式は急上昇した。クラウン株は４．５％高となり、取引時間中としては２０２０年１月以来の高値を記録。スター株は１０％上昇して同年２月以来の高値を付けた。

スター株の日中高値である４．３０豪ドルは、この買収案を７８億豪ドルと評価していることになる。また株価急騰により、クラウンの時価総額は８８億豪ドルとなった。

クラウンは、スターの提案とブラックストーンの修正案を検討しているとした。

ブラックストーンとオークツリーのコメントは得られていない。

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