2021/5/11

【詳説】ビル&メリンダ・ゲイツ夫妻が「別々の道」を選ぶまで

INDEX
  • コロナ渦中で起きた「異変」
  • すでに「一枚岩」ではなかった
  • 「私の声は人に届かない」
  • 夫を怒らせた、妻の「提案」
  • 妻にとっての「ターニングポイント」
  • それぞれの「パラレルワールド」
  • ゲイツ財団を襲う「変化」の連続

コロナ渦中で起きた「異変」

ビル・ゲイツ(65歳)とメリンダ・フレンチ・ゲイツ(56歳)は、自宅に閉じ込められたのも同然だった。
昨年3月にパンデミックが発生すると、夫妻はワシントン湖畔にある6万6000平方フィートの邸宅に引きこもり、ウイルスにさらされるリスクを最小限に留めるため、ほとんど外出しなかった。
ふたりは邸宅内のオフィスで、自分たちの名前を冠した財団の運営を続行。世界の指導者たちとビデオチャットを行い、ワクチン配布のための資金を確保した。また、高校の最終学年を終えようとしている末娘と、アメリカの民主主義の行く末についてリモートで語り合ったりもした。
過去30年間の大半を、世界各地を旅しながら過ごしてきた夫婦にとって、これほど多くの時間を自宅で共に過ごすというのは、降って湧いたような変化だった。
「私たちふたりとも、自宅で仕事をするということについて、ほとんど心構えができていなかったように思います」──メリンダは昨年10月、本紙ニューヨーク・タイムズにそう語っている。
ビルもまた、昨年11月のポッドキャストで、数十年も旅を続けたあとで自宅生活に慣れなくてはならないことの難しさについて述べている。「私の人生は完全に変わってしまった」と彼は語った。「これはまさに異常事態だ」
(Getty Images/Getty Images for Global Citizen)

すでに「一枚岩」ではなかった