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テレワーク率ばらつき“東高西低” IT企業の数などで格差 通勤の「人流」止まらず経済打撃も 

GWが明け、大阪駅近くの横断歩道を渡る通勤客ら。テレワーク拡大はどこまで進むか=6日午前8時33分、大阪市北区(彦野公太朗撮影)
GWが明け、大阪駅近くの横断歩道を渡る通勤客ら。テレワーク拡大はどこまで進むか=6日午前8時33分、大阪市北区(彦野公太朗撮影)
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 政府は緊急事態宣言の延長を決め、引き続き出勤者数を7割削減するよう求めている。ただ、4月の調査では、在宅勤務(テレワーク)実施率は東京が41・7%に達する一方、大阪・兵庫は18・4%に止まり、関西の遅れが浮き彫りに。テレワークになじまない製造業や中小企業が多いためとみられるが、通勤者の「人流」が減らなければ、経済への打撃が広がることになる。(岡本祐大)

 ■東京4割、大阪2割

 3度目の緊急事態宣言が発令された直後の4月27日。「テレワークをさせてもらいたい」。関西にある製造業の事業所に通う男性は、会社にこう相談した。

 小さな子供を抱えるだけに新型コロナウイルスに感染するかもしれないと、1時間以上混み合う電車での通勤が不安だったのだ。

 営業担当なので在宅でもある程度仕事ができると訴えたが、結果的に会社は却下。人事担当者は「製造現場で働く人たちとの公平性を保つ必要がある」と説明した。

 日本生産性本部が4月12、13日に全国1100人を対象にした調査によると、テレワークをしていると答えた人の全国平均は19・2%。都道府県別では、東京都が4割を超えたが、大阪府は18・6%、兵庫県は8%といずれも全国平均に届かなかった。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県(30・7%)とも差が開いた。

 なぜ関西でテレワークが普及しないのか。日本総合研究所の関西経済研究センター長の若林厚仁氏は「産業構造の違いがある」と指摘する。関西はテレワークをしやすいIT企業などが少ない一方、現場に出なければならずテレワークしにくいメーカーなどが多いことが理由とみられる。

 ■中小「コストかかる」

 総合研究開発機構の調査によると、産業別で最もテレワーク実施率が高いのは通信情報業で46%。国が平成29年に行った就業構造基本調査では、東京ではこうした仕事に就く人の割合が9・4%を占めるが、大阪は3%にとどまった。一方、テレワークがやりにくい製造業は東京は9%だが大阪は16%と高かった。

 また、大阪は中小企業が多いことも挙げられる。中小企業庁によると、28年時点で中小企業で働く人は、東京41・3%、大阪66・9%だった。テレワークにはパソコンやネット環境の整備などに経費がかかるため、導入に消極的な中小企業は少なくない。

 製造業関連の中小企業で働く大阪市の男性は、社内でテレワークが励行されているが、自宅からは社内ネットワークにアクセスする状況さえ整えられていないという。男性は「実際にはコストがかかるので『やっている感』を出すだけ。社内で誰もテレワークをしていない」と話した。

 テレワークが浸透しなければ人流の抑止にはつながらない。若林氏は「(感染拡大を後押しする)人流を減らす上でテレワークは重要だ。(感染拡大が止まり)コロナが収束しない限り消費意欲も盛り上がらず、経済にマイナスの影響が出かねない」としている。

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