[北京 9日 ロイター] - 地表に落ちることが懸念された中国の大型ロケット「長征5号B」の残骸は9日、モルディブ沖のインド洋に落下した。中国国営メディアが、中国有人宇宙事業弁公室の話として伝えた。米航空宇宙局(NASA)は、宇宙ごみの扱い方を巡って中国を批判した。

中国国営メディアによると、残骸は北京時間午前10時24分(日本時間午前11時24分)に大気圏に再突入。東経72.47度、北緯2.65度の地点に落下した。モルディブ諸島西方の海上に当たる。大部分は大気との摩擦で燃え尽きたという。

追跡を続けてきた米宇宙軍司令部は、ロケット残骸がアラビア半島上空で大気圏に再突入したことを確認したが、破片が陸地や海上に落下したかどうかは不明としている。ウェブサイトに発表した声明では「米宇宙軍司令部は、衝突の正確な場所や破片の大きさについて公表しない。いずれも現時点では不明である」とした。

米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官は大気圏再突入後に声明を発表し「宇宙開発を行う国は、宇宙物体の大気圏再突入が地上の人々および財産に及ぼすリスクを最小限にする一方、それらの運用に関する透明性を最大限に高めなければならない。中国がスペースデブリ(宇宙ごみ)に関して責任ある基準を満たしていないことは明白だ」と非難した。

中国が同型のロケットを打ち上げるのは2回目。2020年5月に打ち上げた際はアフリカのコートジボアールに破片が落下し、複数の建物に被害が出た。けが人の報告はなかった。

中国は4月29日、宇宙ステーションの3人用居住区施設を運ぶために同ロケットを打ち上げた。中国外務省は7日、残骸の大半は再突入で燃え尽き、被害を及ぼす恐れはほとんどないとの見解を示していた。