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これまでの回復期には格差が縮小してきましたが…
単月の結果だけではわかりませんが、人種的には中立に給付されている支援金以外にも様々な背景がありそうで、今後の社会問題の火種にならないかと懸念されます。
米長期金利が一時1.5%を割り込み、ドル/円も108円台まで円高に戻ってます。
労働力率は2月61.4%、3月61.5%、4月61.7%と高まって来てはいるものの63%を超えていたコロナショック前と比べると遥かに低く、長期失業率も2.6%で前月(2.63%)よりやや下がったものの0.7%前後だったコロナ前に遠く及びません。これは退出した労働者が市場に戻って来ていないことを意味します。そうした中、平均時給は上がり続けていますから、人手不足が生じていることも確かでしょう。就業者数、失業率と共にこうした数字をどう見るかで雇用市場の評価は分かれそう。
失業期間が長くなるとスキルと気力の両面で仕事への復帰が難しくなり、失業保険手当の上乗せが労働市場参入の阻害要因として働くと、仕事はあるのに人々が仕事を求めないということが起こり得ます。求める人材が得られず賃金が上がっているなら、雇用市場が弱いとは必ずしも言えません。そうした中で一律給付金と上乗せされた失業給付で蓄えられた消費余力が発動したらインフレが起きかねません。
仕事そのものが未だ足りないと見れば財政支出で景気を更に噴かす必要があるわけですが、その一方、需要不足の2倍に及ぶ財政支出が景気の過熱をもたらすと心配する向きもあるのが今の米国です。雇用とインフレ率の動きから目が離せません。ただ、景気の回復力が日本を大きく上回っていることだけは確かです(@@。
市場の動きについては、金利がポイント。
雇用統計を受けて、S&P+0.73%、NASDAQ+0.87%。NASDAQは昨日の日本時間夜時点では1.4%くらい上がっていたので引けにかけては落ち着いた。金利は、10年債利回りは発表前1.58%→発表直後1.52%→朝1.58%と行って来い。ただドル円は109.25円→108.5円と発表で円高に推移してそのまま横ばい。
FRB(米国の中銀)は、物価の安定と雇用の最大化を目標にしている。なので雇用が悪いと、緩和的政策を維持・拡大する期待が膨らむ。最近、ワクチン含めて景気回復期待が強まっていたが、数値が弱かったので金利が低下した。
金利が下がることは①成長株(NASDAQ)にプラス、②円高になりやすい。成長株にプラスになるのは、株価は将来の利益の期待値で、理論的には金利やリスクプレミアム(将来の不確実性への対価)割り引いて計算される。金利が下がるとそこへの「割引率」が小さくなるため株価が上がりやすい。成熟している企業でも株価は上がるが、10年後に110の利益への割引率が下がるのと500の利益への割引率が下がるのでは後者の方が感応度がはるかに大きい。円高もドルと円の金利差が縮まるので、ドルの相対的な魅力が下がり、円の相対的な魅力が上がる。
ただ、上記のように引けにかけて金利は元に戻り、株価もNASDAQとS&Pの差もほとんどなくなったが、ドル円だけは発表直後から変わらず(影響を与える要因や捉え方は色々あるが、どうしてだろうとこういう差分から考える)。
雇用については大槻さんのコメントがありがたい!
下記は雇用統計前の記事だが、米国のテック都市での雇用の状況で他の都市より回復が遅れている。リモートが進んで、小売・外食に人々が行かなくなっている度合いの違い。
https://newspicks.com/news/5825857
あとは下記も英語記事だが、雇用ニーズはある一方で、実際に雇用につながっていない現状が書かれている。コロナへの懸念で戻れない人、学校が完全には再開しない中で子育てとのバランスで戻れない人、補助金のほうが以前の給与より良い人、ニーズがある職業と個人のやりたい仕事のミスマッチなど。
https://on.wsj.com/3h7i4Yg