(本文2段落目の純損失に関する記述を、「過去最大の赤字額」から「再上場以降で初となる通期での赤字」に訂正します。)

[東京 7日 ロイター] - 日本航空(JAL)は7日、2022年3月期の連結業績予想の公表を見送った。新型コロナウイルスの影響が読めず、現時点で合理的に見積もるのは困難とした。特に国際線の旅客需要動向の見通しは「極めて困難な状況」という。配当予想も未定。

一方、1株当たり純利益(EPS)について、24年3月期にコロナ禍前の水準への回復を目指すとしている。

IBESのコンセンサス予想によると、アナリスト9人の今期純損益予想の平均値は465億円の赤字。

同時に発表した21年3月期の連結決算(国際会計基準)によると、純損益は2866億円の赤字(前の年は480億円の黒字)で、2012年の再上場後初となる通期での赤字に転落した(訂正)。コロナの感染拡大で旅客数が激減した。売上収益は前の年と比べ65.3%減の4812億円だった。

前期末時点での手元流動性は、現預金4083億円に未使用のコミットメントライン3000億円を加えた計7000億円超を確保している。キャッシュバーン(資金燃焼)については、今期第1・四半期において「月額で約100─150億円程度に圧縮できる」と予想。コスト削減を継続し、今後の国内旅客需要の回復次第では、第2・四半期では「キャッシュバーン状態から資金流入に転じる」と想定する。

同時に発表した中期経営計画では、24年3月期までに手元流動性として旅客収入5.0─5.6カ月分の確保を目指し、自己資本比率は50%程度(前期末は45.0%)まで回復させる。

EBIT(利払い・税引き前利益)で24年3月期に1700億円、26年3月期に約1850億円を計画する。1株当たり純利益は、24年3月期にコロナ禍前の水準である260円、26年3月期には約290円を目指す。

会見した赤坂祐二社長は「公募増資の(影響による1株利益の)希薄化の影響を打ち返すレベルで考えている」と説明した。

会見のポイントは以下の通り。

赤坂祐二社長

*24年3月期にはコロナ禍前の1株当たり利益に戻したい。

*緊急事態宣言の延長はワクチンの効果を強く引き出すための時間稼ぎに感じる。今までよりも目的がはっきりしているように映る。コロナ脱出のための宣言として若干期待を込めて思っている。

*ワクチン接種が進めば確実に旅客需要は戻ってくる。

*国内線はこれまで通りのネットワークを維持していく。

*国際線は減便や運休でかなりネットワークを毀損している。中期で少しずつ戻していく。

*カンタス航空との共同事業については、最後まであきらめず(豪当局からの)認可をもらえるよう頑張りたいが、状況はかなり厳しい。共同事業が仮に無理であれば、別分野で提携を深め、チャンスがあれば共同事業を再開したい。

*雇用は守る。減便しているのでかなり余剰は出ているが、考え方はまったく変わらない。

斎藤祐二常務執行役員

*キャッシュレスを推進するため、金融サービスを強化していく。

*LCC3社の合計売上高は、26年3月期に20年3月期の倍増を計画。

*本文2段落目の純損失に関する記述を、「過去最大の赤字額」から「再上場以降で初となる通期での赤字」に訂正します。