2021/5/8

【熟読】ビジネスパーソンが知っておきたい「哲学の話」

知窓学舎 講師
子どもの頃は誰もが皆、素朴な疑問を持っている。
しかし、最後にそうした疑問について考えたのはいつだろうか。
忙しいビジネスパーソンは、「自分の人生の目的とは?」といった物思いにふける時間をなかなか取れない。
しかし、日々大量に流れてくる情報に追いつこうとすればするほど、本来の気持ちからは遠ざかってしまうだろう。
そんなジレンマを解消するために役立つのが「哲学」ではないだろうか。
今回の週末連載「哲学で心を整える」では、
私たちはどうすれば周りに流されず、自分なりの考えを持って、満足のいく人生を送ることができるのだろうか?
という大きなテーマについて、じっくり考えていきたい。
連載第1回目は、哲学研究者の近内悠太氏が案内役を務める。
近内氏は、デビュー著作となる『世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学』で第29回山本七平賞・奨励賞を受賞。教養と哲学を教育の現場から立ち上げ、学問分野を越境する「知のマッシュアップ」を実践している。
近内氏は、私たちが日々悩んでしまう理由について、「文明の進化に人間の脳が追いつけていない」ことを挙げる。
一体どういうことなのか。週末にじっくり読んで、考え、明日につながるヒントを探ってみよう。
INDEX
  • 僕らの脳はとっくに「ズレ」ている
  • 哲学が生まれたのは「必然」である
  • 哲学で「生きづらさ」を解消しよう
  • ウィトゲンシュタインを知ろう
  • 「贈与」と「利他」は違う
  • 哲学は歴史とセットで学ぼう

僕らの脳はとっくに「ズレ」ている

──私たちはなぜ、苦悩するのでしょうか。
近内 文明というものは、ものすごいスピードで変化しています。ですが、僕らの脳という臓器の進化は、その環境の変化に追いつくことができていません。
だから、人間が苦悩するのは当然なんです。文明という「環境」と僕らの身体である「脳」が根本的にズレているのです。