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企業の知的財産を、政府が競争の材料として切り売りするような事態に陥らないことを願う。ワクチン製造のためには、イノベーションの成果である多数の知的財産に加え、製造や保管(保冷)、物流ノウハウも必要。ワクチン原液のための材料の争奪戦になると、結局、誰も得しない。世界のワクチン供給にも遅れが出かねない。TPPで明らかになったとおり、特許も地経学の重要な争点領域のひとつ。
美しい響きの提案ではありますが、ファイザー/ビオンテックやモデルナで採用されているmRNAワクチンの特許が仮に停止された場合でも、途上国で生産の担い手となる企業があるのか。コールドチェーンはどう確保するかの課題があります。まだmRNAワクチンを開発できていない中露にまで技術供与することに米欧が協調できるかも疑問。バイデン政権のポーズにとどまるのか、実現に向かうかはまだ慎重にみる必要がありそうです。
関連して、昨日も米国の方向性(特許放棄指示)に関する報道がありました。
「米、コロナワクチン特許の放棄を支持 バイデン大統領が表明」(2021年5月6日)https://newspicks.com/news/5822379?ref=user_1310166

これら記事から推測する限り、「特許放棄」は、完成したワクチンの特許を保有する企業が、他社にワクチン製造に関するすべての技術を公開し、他社が製造できるように手助けすることは意味していません。特許出願すれば公開が前提となるため、企業は戦略上、意図的にキーテクノロジーになる特定技術を特許出願しないことがよくあります。

また、本件に関し、ワクチンの研究開発に成功した製薬企業は明確に反対し、他の製薬企業でさえ賛成はしていません。研究開発の成功によってもたらされた知財が収益の源泉になっている企業の考え方として、いささかの違和感もありません。

特許調査をすれば、自社の研究が他社の特許を「侵害する部分」があらかじめわかります。基礎研究において、特定の企業が有する「特許」が障害になり、その特許を侵害して開発したとしても、特許保有者から「莫大な補償」を要求する訴えを起こされることは目に見えています。したがって、特許を侵害する側としては、(1) 特許を有する企業に交渉し「適切な特許料」を支払う、(2) 自社が保有する特許と相互交換する契約を結ぶ(クロスライセンス)、(3) 特許を回避する方法を見つけて研究開発を続ける、(4) 研究自体を断念する のいずれかが妥当な選択肢となります。

したがって、ワクチン特許放棄は、比較的長期に見れば特許を侵害する側の利益になり、また早期開発にもつながりますが、そこで開発された医薬品は他メーカーが開発した「新規医薬品」との扱いになり、物質としては出来上がっても、新規にステップを踏んだ臨床試験が必要になるため、かなりの時間と費用が必要です。

記事中にある、仏政府高官の「問題は特許でなく、ワクチンの生産能力や原料の欠如」との発言の方が、現状を踏まえた上での、早期の解決の方向性を示しています。
中国がワクチン外交を仕掛ける中で、欧米としても海外向けにワクチンの普及を進めざるを得ないという背景がありそうです。ボトルネックの一つに製薬会社の利権があると、少なくとも欧米は考えているということではないでしょうか。また、途上国側のリクエストでもあります。
モデルナの社長は、ワクチン開発段階から、フランス国営テレビのインタビューにおいて、これは人類の共有財産だという旨のことを述べていた。また、「仏政府高官は、問題は特許でなく、ワクチンの生産能力や原料の欠如と指摘」とあるように、「特許権を放棄しても、2021、22年のワクチン供給増にはつながらない」のは事実だ。実際、ヌクレオチドが非常に不足しており、CureVac社はワクチンの生産ができずにいる。製薬会社が懸念するのは、今回の特許放棄が、将来他のワクチンにまで適用される可能性だ。
今回のワクチン開発は国から膨大な援助や特例を受けて行ったのである程度仕方ないのではないでしょうか。
昨日のアメリカの対応に続く動き、イタリア、ドイツ、フランスの意向も書かれています。
ワクチン接種のボトルネックはどこなのかしっかり注視したいところ。

米、コロナワクチン特許の放棄を支持 バイデン大統領が表明(Reuters)
https://newspicks.com/news/5822379/