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今回、世界で広く使われているワクチンメーカーであるファイザー社、モデルナ社、J&J社の本拠がある米国が「特許保護除外」を支持したことは極めて異例です。他に、世界規模でのワクチン供給を支えている、英国、中国、ロシア、インドの動向は伝えられておらず、実現は不透明ですが、米国が賛成にまわるということのインパクトは非常に大きく、製薬企業の収益予想に大きな影響を与える可能性があることから、先行する企業の株価には大きなマイナス要因になります。
ただ、企業が許可して、無尽蔵にコピー品を作らせるような技術を公開するわけではありません。あくまでも特許によって保護されている基本技術を他企業が使えるようにするという意味合いですので、他企業に応用技術がなければ、開発は難しいということになります。また、このようなことが実現すると、企業としては、「特許を出願しないほうが得策」との考え方がさらに広がるでしょう。
研究成果(特許)の強制的無償提供化の流れが既成事実化すると、どこかが開発した医薬品をコピーすればよいと考える企業が増えるため、研究開発が滞り、結果としてイノベーションが滞ることになるという考え方がある一方、特許でいったん保護されるとその領域のイノベーションが滞ることになるという考え方があります。
生命科学領域では、米国がかつても、「研究成果保護への反対」に回ったことがあります。1991年に米国NIH(アメリカ国立衛生研究所)は、ヒトの多数の遺伝子断片配列を研究資源として囲い込むために特許出願しました。また、1999年には、米セレラ・ジェノミクス社が、世界で最初にヒトの全遺伝子配列を解析し、これを有料のデータベースとして販売しました。
この「研究成果囲い込み」の行動に対し、「先端・汎用技術の囲い込みは今後研究の停滞を招く」として、米国の特許当局や政府に近い研究グループから批判が起こり、最終的に研究成果を無償提供させられています(もとより、この場合、研究費の大元には政府が関与しています)。
※同種報道と同じコメントです。
当たり前と言えば当たり前ですがこれを受けて開発元の製薬会社の株は下落しています。
しかし本当に英断だと思います。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-05/QSNEC8DWRGG501
死亡者数も発表の5-10倍だと。なぜなら公表値は病院で亡くなられた方だけで、多くは病院のキャパ外で自宅で待っている間に亡くなるから、とのこと。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
また、モデルナは治験でワクチンの追加接種がブラジル型および南アフリカ型の変異株に対し抗体を増強させる結果が出たと発表。
設計図とノウハウがあれば割と世界中の医療機関でワクチン生産が可能だそうです。
各国の医療当局への提出書類や、そもそものIPの技術ノウハウに対するアクセスが整っていないと難しいかと思いますが、まずは特許保護除外というハードルがクリアされて良かった。
先進国への販売で初期投資は回収できたものの、ワクチン銘柄は軒並み値を下げましたので、今後はサポート、パートナー契約などの別名目での売上モデルを考える必要がありそうですね。