[5日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は5日、米経済は多くの政策当局者が予想していたよりも速く回復しているが、「広範な回復を達成するには時間がかかる」とし、米連邦準備理事会(FRB)が大規模な支援策を縮小する条件が満たされるには雇用市場の一段の進展が必要だと述べた。

ボストン・エコノミック・クラブでの講演で、今年の失業率は4.5%以下になる可能性があり、国内総生産(GDP)成長率は「6─7%の範囲」になると想定。「私の前向きなベースライン見通しは適切な金融政策に依存しており、個人的な見解では回復の広がりを支援するには当面、非常に緩和的である必要がある」と語った。

また、インフレ圧力や金融安定性を巡るリスクがなければ、雇用関連指標が堅調だったとしてもFRBが対応することはないと指摘。供給を巡る混乱が収まるまで時間がかかるかもしれないが、インフレを圧迫する要因は依然として存在すると指摘。株式市場や住宅用不動産市場に関しては、投資家のリスク選好度の高まりや低金利、良好な経済見通しを背景にバリュエーションが上昇しているとの認識を示した。

総裁は「今年予想されるインフレは、FRBの政策金利に関するフォワードガイダンスの達成に必要な持続的な種類のものではないと考えている。このため、インフレがわれわれが望む軌道を超えて押し上げられるという明確な証拠がない限り、FRBは意思を持って忍耐強く対応する」と表明。「資産買い入れに関するフォワードガイダンスが達成されたとみなすには、一段の改善が必要だ」と述べた。

その後、記者団に対し、FRBが設定した資産買い入れ縮小開始の要件が労働市場で達成されたのか、コロナ禍前と単純に比べるだけでは判断できないとしながらも、一段の進展が必要なのは明確だと指摘。「これまでに得られた進展で、資産買い入れ縮小を巡るガイダンスが達成されたとは考えていない」と述べた。

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