米大規模経済対策、インフレ加速の懸念ない=財務長官
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実際のインタビューを聞くと、イエレンさんは「インフレが問題になるとは思わないが、我々は注意深くモニターしていくし、仮にインフレ圧力が高まれば連邦準備制度には十分な対応手段がある」という、米国当局として(いつも通りの)標準的な答え方をしているように思います。
この、いつも通りの答え方は中央銀行界でFed View"と呼ばれているものですが、基軸通貨国であり資本流出圧力に晒されにくい米国は、それだけ余裕を持った政策対応を行いやすいことは確かだと思います。
同時にイエレンさんは、恒久的な支出は増税で賄う必要があるとも述べ、米国財政への信認確保にも配慮した受け答えをしていて、さすがイエレンさん、長年やって手馴れてきているなあと感じました。
注目のコメント
巨額の財政支出で政府の赤字が膨らんで、政府と民間を合わせた需要が米国の生産力を大きく上回って輸入が増えて経常赤字が膨らんでも、基軸通貨を持つ米国は、経常収支の黒字国が米国債を買って資金を米国に戻してくれると期待することが可能です。政府が自国民からだけ借金している限り国内の需給はバランスするから破綻しない、ということを、米国は世界の国々を相手にやっているわけで、世界の供給能力が限界を超えない限り、簡単に強烈なインフレに陥ることは無いでしょう。失業者等が沢山いる今は米国自身にも生産余力がありますし、「恒久的な支出増は(増税で)賄われるべきだという考えで、わたしもそれに同意する」ということなら政府の財政赤字が野放図に拡大することも無いから尚更です。
ただ、世界の中央銀行が極端な金融緩和を長期間続けた結果、世界には投機マネーが溢れています。何かのきっかけで米国の信認が落ちて米国債が世界で売れなくなって長期金利が上昇し・・・ といったことが起きたら大変です。状況は異なりますが、1970年代後半の米国の強烈なインフレとそれへの対策、そしてその結果中南米の国々が次々デフォルトを起こした状況を現地で実際に体験しただけに、可能性を完全に否定する気にはなれません。危機はある日突然やって来る。可能性は低いですけれど、需要不足を大きく超える財政支出がそのリスクを高めていることだけは間違いないように感じます。(^^;