2021/5/3

【超解説】広告を揺るがす「サードパーティCookie」を知る

この記事は、Quartzによる特集「The end of third-party cookies(サードパーティCookieの終焉)」からの翻訳です。
ニュース記事から電子コミックまで、インターネットは望む以上のものを与えてくれるメディアだ。それも多くは無料で。
だが、本当のところ、この世にタダのものはない。
インターネットの世界もそうだ。実際には、私たちが「無料」コンテンツを消費するたびに、ある種の取引が成立している。
パブリッシャー(媒体)が消費者(あなた)にコンテンツを提供し、広告主(ブランド)はそのコンテンツづくりの費用をパブリッシャーに提供する。
そして消費者は、大量の個人情報を無数の企業に提供する。このビジネスモデルができたのは、1990年代半ばのこと。
その中核をなすのが、サードパーティCookie(クッキー)と呼ばれる技術だ。Cookieは小さなテキスト片だけれど、ユーザーのネット上での行動履歴を追跡(トラッキング)する上で極めて重要な情報だ。
Cookieのおかげで、広告主はターゲットを定めたり、マーケティングの効果を測ることができる。Cookieはウェブ広告、さらにはウェブパブリッシングの世界になくてはならない技術だった。
それが終わりを迎えようとしている。
すでに、世界第2位と第3位のブラウザであるSafari(サファリ)とFirefox(ファイヤーフォックス)は、デフォルト状態ではサードパーティCookieを遮断するようになっている。ブラウザ市場首位(シェアは60%以上)のグーグルChrome(クローム)も、2022年に同様の措置をとるとしている。
そうなれば、サードパーティCookieをサポートするブラウザはほぼなくなる。
近年、ウェブ広告業界によるユーザー追跡に対しては幅広い批判の声が高まり、2017年にEUが強力なプライバシー保護法を導入したのをきっかけに、世界中で同様の規制を求める声が拡大している。
そして、かねてプライバシー重視をアピールしてきたアップルは、ここぞとばかりに、ユーザーの追跡を非常に難しくするソフトウエアのアップデートを発表した。
ネットビジネスは今、岐路にある。
広告主、代理店、ブラウザ、そしてパブリッシャーの業界団体は、従来型のトラッキング方法に代わる方法を見つけようと必死だ。これらの企業の今後1年間の選択は、インターネットにおけるプライバシーの未来と、市場規模3360億ドルのウェブ広告業界の未来に大きな影響を与えるだろう。
「うまくやれば、向こう20年にわたり、自由でオープンなウェブ環境づくりに積極的に影響を与えることができる」と、グーグルの信頼とプライバシー関連プロダクトチームを率いるチェツナ・ビンドラは言う。
INDEX
  • 注目ポイント
  • 1.まず、数字で学ぶ
  • 2.いまさら聞けないCookieの仕組み
  • 3.図解:ウェブ広告料の仕組み
  • 4.Cookieの歴史
  • 5.Cookieの次は何?
  • 5.Cookieを産んだ男
  • 6.英語でもっと読む