[北京/上海 29日 ロイター] - 中国の5大国有銀行の第1・四半期決算は、新型コロナウイルス禍からの景気回復を追い風に増益となった。ただ、低金利などの影響で利益率は4行で低下した。

中国では第1・四半期の国内総生産(GDP)が前年比18.3%増加するなど経済活動が回復し、銀行の業績に恩恵をもたらしている。

中国工商銀行(ICBC)の第1・四半期純利益は前年同期比1.5%増加した。交通銀行、中国農業銀行、中国銀行は2%超の増益、中国建設銀行も増益を発表した。

ただ、中国人民銀行(中央銀行)による金利改革などの影響で、銀行の収益性の指標となる純金利マージン(NIM)は4行で低下。農業銀はNIMを公表しなかった。

中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)によると、国内銀行業界の第1・四半期利益は前年比1.5%増加し、3月末時点の不良債権比率は1.89%と、2020年末の1.92%から低下した。

建設銀と工商銀は第1・四半期末の不良債権比率が前期末比で横ばい、残りの3行はやや低下した。

ただ、アナリストは、政府が定めた債務返済猶予期間が今年末で終了すれば、銀行は不良債権の急増に直面するとみている。

アジア開発銀行のアナリスト、Qi Wen氏は「この政策の期限が来れば、不良債権(比率)が大幅に上昇すると見込んでいる」とし、特に地方の商業銀行など多くの金融機関にとって非常に大きな課題になるとの見方を示した。