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アフリカは親日?日本の印象は?

アフリカは親日なのか、アフリカでは日本はどう見られているのか、というのはよく聞かれる質問です。ひとことでいうと、

「未知だけど印象がよい国」

技術力がある(主としてトヨタ車からの連想)、いい人達(まじめで規律が効いている)、豊かな国(ミラクルな経済成長を成し遂げた)というのが日本の三大印象だと思います。アフリカで日本人だと言って嫌な思いをしたことはほとんどありません。

ただし、みんな実際のところはよく知らない。以前そういえば、こう書いたことがありました。

日本企業は素晴らしいと言う人に、具体的にどんな日本企業を知っているかと聞くと、まず「トヨタ」と答える。「トヨタの車は素晴らしい」。「ほかは?」と聞くと、次に出てくるのが「JICA」だ(企業じゃない)。3番目はない。

生身の日本人や、日本企業とのつきあいがある人が少ないのだから、仕方ないですね。むしろそれでも(だからこそ?)よい印象を保っているのは驚きです。好印象って、素晴らしい資産です。

例年、アフリカのオピニオンリーダーを対象に、印象の良い国を質問している調査があります。2021年の結果は、

印象のよい国_2021

米、ドイツ、カナダ、英国、中国ときて、日本は6位です。上位に並ぶ国は、アフリカと政治的・経済的、そして在外アフリカ人が住む国といった関係が深い国が並んでいますから、その中で6位につけるというのは健闘しているのではないでしょうか。

地域別でみるとこんな感じ。

印象のよい国_地域別_2021

左から、北アフリカ、西アフリカ、中央アフリカ、東アフリカです。日本は北アフリカで3番目に入っています。ドイツがどこでも上位に入っていますね。

その国はつきあう価値のある相手か(とても価値がある+価値があるの合計)という質問では、

つきあう価値_2021

日本に対しては、70%が「つきあう価値がある」としています。トップは中国です。

この調査では、国だけでなく、企業やブランドについても聴取しています。

アフリカでもっとも印象のよい企業・ブランドは?

ブランド_2021

じゃーん!トヨタが、コカコーラ、アップルを抑えて堂々トップです。すごい。トヨタの背中に、アフリカ在住日本人全員の好印象と安全がかかっているので、どうぞこれからもよろしくお願いします。

DHLが入っているのがちょっとおもしろいですね。私の中でも、アフリカで確実にものを届けてくれる宅配会社として、イメージとってもよいです。

この10社の中で、アフリカ拠点の会社は、7位のDangoteと10位のMTNです。Dangoteはセメントや石油化学コンビナートを持つナイジェリアの財閥、MTNは南ア拠点のアフリカ最大の通信会社です。

トヨタは地域別でも5位に入っています。中部アフリカには見当たりませんが、4位のCFAOはトヨタ車のディーラーです。

ブランド_地域別_2021


日本はやっぱりイメージがそこそこ良い、というのが結論なのですが、実は、年々数値は落ちているんですよね。

2019年は4位で、34%の「好印象」を得ていました。2021年は19%まで落ちたということになります。

印象のよい国_2019

一環して、中国のイメージが良いのにも気づかれると思います。アフリカにおける中国のイメージ、決して悪くないんですね。回答者が一般の人でなくオピニオンリーダーになるとなおさらです。中国とのつきあいにはメリットがあるからです。

トヨタ頼みではいられませんね。日本とアフリカの実のある関係をつくって、「好印象」という素晴らしい資産を維持していきたいところです。投資や貿易などで日本とアフリカの関係が深まり、人的交流も増えることが、好印象を支えていくと思います。

追記: この調査を実施したのはフランス系の機関で、なのでグラフのフランスの結果に色がつけられているのですが、フランスは日本とは逆に、「存在感がありすぎて印象が悪い国」なのです。フランスの存在がより強い西アフリカので、英国や中国が5位以内に入っているのにフランスがないという。。

トヨタ以外で知られている日本ブランドについては、以下の「アフリカで強いブランドトップ100」をみてみてください。日本企業はトップ100に何社入っているでしょうか。。。


「アフリカで日本企業がビジネスをやりやすい国はどこ?」「現地の企業とうまくつきあうには?」などなど、アフリカビジネスに関するあらゆる質問に答えています。以下から御覧ください。


調査概要: アフリカンリーダーズ調査。アフリカの北、西、中部、東アフリカの主要12カ国のオピニオンリーダー2426人を対象に、2020年11月~2021年1月にインタビューにて実施。オピニオンリーダーは、政治や産業界の意思決定者、メディア関係者、インフルエンサー、アカデミック関係者、宗教家含む市民社会の代表など。各国女性比率約30%

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