1000店→150店に! なぜマクドナルドはウォルマートから“離れている”のか両社の関係が崩れ(1/4 ページ)

» 2021年04月29日 08時30分 公開
[藤井薫ITmedia]

 世界最大の小売チェーンで、米国では人口の90%が店舗の10マイル圏内(約16キロ)に住んでいると言われているウォルマート。そのウォルマート内に店舗を構え、約30年にも渡って営業を続けてきたマクドナルドが、いま米国でビジネスの転換期を迎えている。

 ウォルマート内で営業しているマクドナルドは、ピーク時には米国内で1000店ほどあったのだが、それを2021年の夏までに150店ほどに縮小する予定だという。

ウォルマートの店内でマクドナルドの店舗数が減っている(出典:ゲッティイメージズ)

 長きにわたり、両社にとってメリットがある関係を継続してきたのだが、なぜそれがいま崩れてしまったのだろうか?

 もちろん、新型コロナウイルス感染症のまん延が少なからず影響しているのは間違いない。店内での飲食が厳しくなったことや、ソーシャルディスタンスを保つためウォルマート店内への入場制限もあり、客足が大幅に落ちたからだ。

 しかし、実はそれだけが理由ではないようだ。一番の要因は、大手小売店内にマクドナルドが間借りするビジネスモデルが時代に合わなくなったことが大きい。

コロナ禍、マクドナルドの店舗戦略は……(画像はイメージ)

 確かにウォルマートは米国内で数多く店舗を持ち、売上高でも規模でも圧倒的な影響力を持つ企業ではあるが、マクドナルドにとって以前ほどの魅力がなくなっている。

 実は少し前から、ウォルマート内で営業するマクドナルドの店舗数が減少し始めていた。これまでの経緯を調べてみると、12年に約870店だったのが、17年には約640店ほどまでに減少している。

 そして、20年の始めには約500店になっていたが、大きな動きがあったのはコロナ禍真っ只中の20年7月になる。マクドナルドは、ウォルマート内で営業する店舗で、業績がよくない100店ほどを閉店すると発表したのだ。

 マクドナルドによると、新型コロナの流行よりも前に撤退することを決定していたが、その計画が少し早まったという。

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