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わらでもすがりたい気持ちの患者サイドに冷静に判断してみらえるようにしないと、サイドエフェクトによる二次被害が多くなってしまう。
例えば、ファイザーのワクチンは「2020年前半の臨床試験開始時から、米、欧州、中南米、南アの150以上の治験施設で約44,000人の治験参加者」に治験を開始していました
そして、EU27か国はEMA(欧州医薬品庁)でまとめて審査します
https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-receive-authorization-european-union
日本が当初治験の対象にならなかったのは、当時は、相対的に感染者数がかなり少なかったという事情もありました。(ワクチンの治験は、ワクチン接種グループとプラセボに当たる生理食塩水接種グループとに分けて、その後の感染状況の違いを見るので、その社会に感染者が少なければ、差異が出ない可能性がある)
今回の件は、米FDAの緊急使用許可(EUA)のように、「緊急時に未承認薬等の使用を許可したり、既承認薬の適応を拡大したりする」というよりは、「先進国でアジアオリジンの人を含む十分な治験が行われ、安全性と有効性がきちんと確認されていれば、日本国内での治験がなくとも、承認できるようにする」ということなのではないでしょうか
なんであれ、重要な政策決定においては、リーダーに、正確な情報を基に、理解・分析・判断していただかないといけないだろう、と思います
そもそも我が国では、1970年代からの「予防接種禍」で、ワクチンの副反応に関する多くの訴訟が起こり、メディアがセンセーショナルに取り上げ、「ワクチンはこわいもの」という誤った認識が広まり、結果、多くのワクチンが、義務・集団接種から、勧奨・個人接種に変わり、ワクチン開発・製造も行われなくなっていった歴史を踏まえれば、もし仮に、今回簡略化したことが、後に過剰な誹りを受けるといったことがないように、同じ轍を踏まない努力が求められると思います
日本で、新型コロナワクチン接種(入手)が遅れている根本的原因は、治験が遅かったからというよりは、そもそも日本が、ワクチンの開発・製造力を持たぬ国になっていることだと思います
この記事には早い段階で使用可能にすることが書かれていますが、大事なのはその後です。
日本人で十分な安全性が確認されていない場合も、まず使用可能にする、そして臨床下で安全性をモニタリングして、何かしらの問題が見つかった場合は一時的に使用を止め、専門家による評価を行い、その結果を踏まえて再開の判断をする。
早く使用可能にすることと合わせて、この安全性の「モニタリング、中断、評価、再開のサイクル」を回すことを合わせて検討し、そのように運用していくことについて国民に丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。
医薬品の認可権限を外国に委ねた場合、国家主権が取れず、リスクが大きすぎることから、主要国は(危機管理の意味も含めて)自前の審査プロセスをもちます。また、主たる臨床試験を実施している国と人種が異なる場合は、人種差などによる異なった挙動(副作用の増加、有効性の低下、それぞれその逆もありうる)が、過去の事例からは知られているため、自国で臨床試験を実施することが一般的でした(これも、多くの国でとられている審査プロセスです)。
今回報道されている法改正の範囲では、緊急時に限っては、「人種差などによる異なった挙動の確認」のプロセスは省略するものの、厳密には緊急使用許可は認めてはいません(「欧米での使用実績があれば認める」と記事中に書かれていることからの推測)。つまり、「外国の実績に基づく」ことのようです。
そうであれば記事にある「図」は、報道内容を正確には示していません。日本国内で開発されたものに対して「臨床第3相」をスキップして「緊急使用許可」を認めることは念頭に置いておらず、あくまでも「外国で使用経験があることを前提」として、医薬品の使用を認めるということで、ここに安全性の担保を取りたいようです。つまり、ファイザー製ワクチンのような外国で緊急使用されている医薬品については「日本での臨床試験がなくても認める一方で、日本が世界に先立って緊急使用許可を出すことは想定していない」ということです。
欧米が今回のワクチンで認めていた「緊急使用許可」は最終段階の臨床使用試験を自国でも他国でも行わず、「市場で実使用しながら成績確認する」もの(現在もこのプロセス途中)ですので、似ているように見えますが、考え方の根幹が異なります。
一方、法改正により、海外での開発力が国内の開発力を決定づける(海外拠点があればそれでよい)ため、今後、国内の医薬品産業の臨床開発環境の整備をよほど整えない限り(構造上難しいのですが)、製薬企業の開発本拠の海外移転が一気に進むことになるでしょう。
治験を待たずに医薬品を使用許可することは基本的にはできません。まして、ワクチンのように「予防」として健常な人にも広く使用をすすめるものでは、臨床試験による十分な安全性の確認のステップが必須です。
それは、記事にあるような「海外で使用した実績があれば国内の治験が終わっていなくても使用を認める仕組みを新たに設ける。」でもいけません。「使用実績」ではなく、「必要十分な臨床試験の実績」の有無を問わなければなりません。
今回のワクチン事例における課題は、必要十分な国際共同治験が行われたにも関わらず、さらに言えばアジア人まで含まれていた中で、使用開始のタイミングを遅らせるリスクをとってまで、小規模な日本人の再試験の結果を待つ必要があったかという点にあると思います。
「海外で必要十分な治験が行われ、安全性と有効性が確認されていれば国内治験がなくとも緊急使用できる」としていれば、使用開始は米国と変わらないタイミングであったと思います。そこが焦点です。
「治験待たずに」ではなく「国内治験待たずに」と補っていただくべきかと思います。もしタイトル通りならばあってはならない法改正ですが、そうではないと思います。会員限定記事のようですので(私自身も記事全文を読めませんが)、タイトルは訂正されるべきだと思います。
正しい情報を拡げ、根拠のない情報を止める、どちらかに誘導するものではありませんが、そもそも根も歯もないウワサのようなものに振り回されてしまう状況を作り出さない、そうした「素地」を国民全体に拡げる必要もありそうです。
その上で国内治験に関しては、たしかに遅いかもしれませんがこうして改善されていくことは良い変化と考えます。
国内治験については、した方が安全なのでしょうか?海外で43000人ほどで治験されて、その後実際の使用経験も積み重なっている状況の中で国内で行われた160人の試験にどれほどの意味があったのだろうかと思います。
実際には民族性で有効性や安全性は変わる可能性はありますが、それであればアジア人データでも良いかもしれません。
海外の臨床試験結果をそのまま鵜呑みにせず、かといって国内でも(少数例ながら)治験したから大丈夫ということでもないことを考え、もし日本では慎重な姿勢を貫くのであれば海外の試験結果をデータとして評価し、どの程度外挿可能か検討・吟味するということの方が重要なのではないかと思います。
接種が迅速に進む米英は医療資格を持たない万人単位のボランティア等を育成して接種に当たらせ、広大な施設を複数使って体制を整え、一日当たり百万人単位の勢いで接種を進めていると報じられています。医師会の反対を前に薬剤師、救急救命士、医学部や看護学部の学生等はおろか歯科医師を動員することすら制約を受ける我が国は、安全を合理的に判断するにとどまらず、あらゆる勢力の利権、既得権を含む“安心”を求めて動いているように感じてなりません。
本件にとどまらず、我が国の様々なところでこういう歪が生じ、問題の解決を妨げ成長を制約しているとあらためて感じます。先ずは嚆矢として、本件、是非突破して頂きたい。指導力がない、なんて世論調査があるようですが、こうした問題を次々打ち破ることが出来るなら、派手さはなくても相当な指導力であるように思います。
具体的な動きが、足元で起きている問題に対応できないタイミングに先送りされがちなことに不満は残りますけれど (^.^)/~~~フレ!