2021/4/28
【直撃】EVシフトで「サプライヤー」は生き残れるか?
「黙っていては、ビジネスは先細りするだけです」(武蔵精密工業 大塚浩史社長)
愛知県は豊橋市にある武蔵精密工業は、知る人ぞ知る自動車の有力サプライヤーだ。エンジン部品の技術に強みがあり、大手自動車メーカーとの取引で年商2500億円にまで事業を拡大させてきた。
しかし今、世界中でEVシフトが叫ばれ、車の構造そのものが大きく変わろうとしている。それまで車のコアとされてきたエンジンは不要になり、モーターに置き換えらえる。
自動車メーカーの生き残り競争も熾烈だが、そのサプライヤーはより深刻だ。とりわけ「過去の技術」として扱われようとしているエンジンの部品に関わる企業は、強い危機感を抱いている。
日本の自動車産業を支えてきたサプライヤーたちは、EVシフトをどう眺め、どう対応していくのか。
武蔵精密工業の大塚浩史社長に、その心中を語ってもらった。
EVシフトは「必ず起こる」
──「EVシフト」が叫ばれています。エンジン部品を供給するサプライヤーとして、この動きをどう見ていますか。
大塚 EVシフトという言葉は、10年ぐらい前から言われていますね。
2016年に「CASE」という概念が提唱されてからは、より多くの人がEVと言い出すようになりました。
でも私の実感としては、10年前はまだ全体の半分くらいが「EVは主流にはならない」と思っていた。EVはエンジン車に比べて価格が高いし、不便だというのが当時の理由でした。
では、今はどうか。EVシフトが起こらないと本気で思っている人は、ほぼゼロです。誰に聞いても、EVシフトはいつか必ず起こると言います。
気候変動というテーマもより差し迫った課題として認識されるようになったのも大きいでしょう。
最近まで「EVシフトは少なくとも20年はかかる」と言っていた人もいましたが、それが10年後、5年後といった具合に、どんどん短くなっている。
──一方、トヨタをはじめとする日本の自動車メーカーは今でも、EV一辺倒に陥ることに懸念を示しています。
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Editor's Choice
この連載について
ついにあのアップルが、自動車業界にやってきた。EVと自動運転を武器に、アップルカーは自動車業界を破壊し、新たな王者に君臨するのか。それとも、トヨタを中心とする既存メーカーが地位を守るのか。アップルとトヨタを中心に、未来の自動車ビジネスを読み解いていく。
ホンダ持分法適用会社。自動車のギヤ等を中心にカムシャフトなどのパワートレイン部品やサスペンション部品などを手がける。2016年欧州の大手鍛造・機械メーカーである独ハイ・ホールディングスを買収。
時価総額
1,103 億円
業績
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