2021/4/24

【新】知の巨人が暴く「イノベーションのウソ」

NewsPicks編集部
ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグ、マーク・アンドリーセンなどトップ企業家が熱烈に支持するイギリス屈指の科学・経済啓蒙家、マット・リドレー。
今年3月に、新著『人類とイノベーション』(NewsPicksパブリッシング)を発表した。
イノベーションは人類の発展に不可欠であり、特に日本は経済成長のためにイノベーションの必要性を強く望む声が多い。
だが、イノベーションについては誤解が多く、また各種の規制により、日本を含む多くの国ではイノベーションが阻害されているとリドレーは強く批判する。
それはどういうことなのか。
NewsPicksは、ピケティやクルーグマンの翻訳者として知られる評論家の山形浩生氏との特別対談を実施した。
早くからリドレーの主張に注目してきた山形氏とリドレーは、何を語ったのか。イノベーションの本質に迫る対談の様子をお伝えする。

イノベーションにまつわる「誤解」

山形 日本の経済学者の間では、「日本はもっと産業を発展させ、経済を発展させるべきだ」という議論が盛んです。
 一部の経済学者は「これまで日本は既製品を改善していく“プロセス・イノベーション”を行ってきたが、これからは大規模で破壊的な“プロダクト・イノベーション”が必要だ」と考えています。
一方で、リドレーさんの新刊『人類とイノベーション』では、この2つはそれほど区別されておらず、「当初のアイデアやプロダクトをどう発展させ改善していくか」という長いプロセスの重要性が強調されています。「改善」と「イノベーション」の違いは何でしょうか。