[20日 ロイター] - 米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は20日、欧州医薬品庁(EMA)が同社の新型コロナウイルスワクチンについて、恩恵はまれに血栓症が生じるリスクを上回るとの見解を示したことを受け、ワクチンのパッケージに記載する注意書きを変更した上で、欧州連合(EU)のほか、ノルウェーとアイスランドで出荷を再開すると明らかにした。

EMAはこの日、EMAはワクチンの恩恵はリスクを上回ると改めて強調すると同時に、J&J製ワクチンの接種と血栓症発症との間に因果関係があり得るとの見解を表明。EMAの安全委員会は、J&J製ワクチンの説明書に血小板の減少を伴うまれな血栓症発症を巡る警告を追加しなければならないと結論付けた。英アストラゼネカ製ワクチンに対しても同様の要請を行っている。

J&Jはこれを受け、ワクチンのパッケージにまれな副反応のリスクに対する警告に加え、副反応の診断と治療の手順を記載する。J&Jの最高科学責任者(CSO)、ポール・ストフェルズ博士は「診断と治療の明確なガイダンスを明記することで、J&J製ワクチンに対する信頼を回復できると期待している」と述べた。

J&J製ワクチンを巡っては、米疾病対策センター(CDC)と米食品医薬品局(FDA)が13日、接種した50歳以下の女性6人に血栓が生じる事例が報告されたことを受け、接種を一時中止するよう勧告した。

EMAは米国の8事例を含む全ての入手可能なデータを精査。その結果、全ての血栓症は接種後3週間以内に発生し、血栓症を発症したのは全て60歳以下の成人で、この大部分が女性だった。また、血栓が形成されたのは大部分のケースで脳と腹部で、アストラゼネカ製ワクチンの事例と似ていた。

EMAは「血小板の減少を伴う血栓症発症に対する一つの妥当な説明として、免疫反応が挙げられる。これに類似した症状は、ヘパリンの投与を受けた患者で見られることがある」とした。

エドワード・ジョーンズのアナリスト、アシュティン・エバンズ氏は「J&J製ワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)技術を使うワクチンのように超低温での保管が必要ないため、ワクチン見直しの結果は世界的なワクチン接種計画にとり重要だ」と述べた。

米国では、CDC諮問委員会が23日に会合を開き、J&J製のワクチン接種を再開すべきかどうか検証する。

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