[ワシントン 19日 ロイター] - 米財務省は19日、気候変動問題に対応し、環境保護に関わる投資など「環境金融」の促進や温室効果ガス削減に資する税制および金融リスク評価に関し財務長官に助言する顧問職を新たに設け、気候変動問題に特化した投資会社のジョン・モートン氏を任命したと発表した。

同氏は投資会社ポリネーション・グループのパートナーで、オバマ政権でも気候変動に関する上級職に就いていた。ただ、金融機関に環境に配慮した投資へのシフトを強力に促せる人物を求めていた環境活動団体からは、今回の人事について失望の声が上がった。

財務省の発表によると、モートン氏はイエレン財務長官に対し、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標の達成に向けた投資に必要な資金を融通する取り組みをはじめ、気候変動に関する幅広い問題で助言を行う。

イエレン氏は声明で「気候変動問題には、産業界と政府による経済全体への投資に加え、家計や企業、金融部門に対する気候関連リスクを測り、緩和する行動が必要だ」と指摘。

「金融と金銭的報酬が、国内外の気候危機に対応し、経済を転換する好機に資金を提供する上で、重要な役割を果たすことになる」とした。

ただ、気候変動や金融問題、消費者保護に関する複数の活動団体は、モートン氏は金融規制で経験が不足していると指摘。環境保護団体アマゾン・ウォッチの気候・金融ディレクター、モイラ・ビルス氏は「気候危機は『市場』が修復すると考え、エネルギー転換から得られる利益について頭を悩ませるような人は、これほど重要なポストを務められない」と強調した。